日本列島は連日強烈な寒波に襲われており、ついに雪の少ない関東でも雪が降る見込みのようですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?このすえひろはといえば、体が冷えないよう日々体操に励んでおります。
先日のお話ですが、国立劇場へ出かけまして、初春歌舞伎公演を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためたいと思います。
筋書で手ぬぐいが当たる!
今年のお正月公演は、例年行われている手ぬぐいまきなどのお楽しみ企画がない代わりに、筋書購入者を対象に手ぬぐいの抽選が行われています!筋書の中に「当たり券」が入っていて、筋書売り場で手ぬぐいと引き換えという仕組みです。
実はこのすえひろも当たりました!当たり券の引き換えの際売店の方がカランカランと鐘を鳴らしてくださるのですが、この音がちょくちょく聞こえていましたので、当たりの確率は結構高いのではないかと思います。ご購入の際は要チェックです!
ここから今年のお楽しみについてネタバレをするつもりですので、この先をお読みになるのはどうぞご注意くださいませ。
この先ネタバレあり
初春歌舞伎公演は菊五郎さんを座頭とする菊五郎劇団によるお馴染みのお正月芝居。演目は「四天王御江戸鏑(してんのうおえどのかぶらや)」です。
渡辺綱を中心とする源頼光四天王の土蜘蛛退治を軸としたお芝居であります。
筋としては、
①父・平将門の遺志を受け継ぎ源氏を成敗しようと目論む相馬太郎良門なる男が、源氏を滅ぼすために土蜘蛛や茨木童子の力を借りることとする
②土蜘蛛や茨木童子は女性に化けて遊郭に身をひそめ、鳶頭の綱五郎と良い仲になる
③実は綱五郎は頼光の家臣・渡辺綱であり、ほかの四天王とともに化け物を見事成敗
というシンプルなもので、歌舞伎らしいおもしろさに溢れています。
そして今回は、近ごろ感染対策下での公演が続き、上演時間が短く大道具転換の少ない演目が選ばれているなかで、本当に久しぶりの「通し狂言」でした!
場面転換がたくさん行われ、大道具も次々入れ替わるような芝居をとにかく久しぶりに拝見したというのもあってか、一幕一幕夢中になりました。内容もわかりやすいですから、初めて歌舞伎をご覧になる方にもぜひにとおすすめしたい舞台であります。
特に最後の土蜘蛛退治の場面などは、菊之助さんの土蜘蛛の精の大立ち回りがバッタリバッタリと繰り広げられ、圧倒的エンターテインメント感に興奮いたしました。こうした歌舞伎のド派手さが大好きです。理屈抜きに元気が湧いてきます。
またお正月の菊五郎劇団では、必ず時事ネタを盛り込んだお楽しみの趣向がありますね。今年の時事ネタは鬼滅の刃ではないかな…と思っておりましたが、まさかのNiziUでした…!
全く想像していなかったなかで目に飛び込んできた菊之助さんの縄跳びダンスの破壊力たるやすさまじく、それを見たJ.Y.Parkさんがニッコリ、「キューブあげます」の流れを妄想しました…。とにかく可愛らしかったです。。
「かけると何でもぐにゃぐにゃになる粉」という謎アイテムが登場し、菊五郎さんがその謎粉をそこかしこにまき散らした結果、大道具までもがぐにゃっと曲がるというドラえもんのような趣向にも興奮いたしました!
そのほかにも、アマビエの掛け軸、ソーシャルディスタンスを保ったままお酌できるグッズや、お座敷に設置されたアクリル板などなど、時節を取り入れたおかしみが小道具・大道具にもたくさん取り入れられていて、大変楽しかったです。
菊五郎劇団のお正月公演を拝見しますと、毎年なんともゆったりとした愉快な気持ちになれます。不安や憤りをひととき忘れられるような娯楽性に、今年は特に救われました。
それはそうと、今日明日と成人式の自治体も多いようですが、中止や延期など対応はさまざまのようですね。新成人のみなさまには本当につらい状況で、大変胸が痛みます。
状況は全く違いますが、このすえひろも大学の卒業式の直前に東日本大震災が発生し、晴れ着を着るべきか否か、同級生のあいだでもそれぞれに葛藤がありました。
一生に一度のことと思い、家族にも見せたく、結局は晴れ着を着ることを選択したのですが、それが正しかったのかは今でもわかりません。倫理的な葛藤は今もあり、きちんとした区切りのないまま社会人になってしまったような感覚が残り続けています。式典や晴れ着には、想像以上に大きな意味があるようだと今となっては思います。
しかしながら、今回ばかりはご自身の気持ちの問題だけでなく、まわりの方やご家族にまで直接影響してしまう問題です。僭越ながら、もしお出かけになる場合はどうぞ直行直帰でと申し上げたく思います。