ただいま歌舞伎座では二月大歌舞伎が上演されています。
第三部「奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)袖萩祭文(そではぎさいもん)」は、十七世中村勘三郎三十三回忌追善として上演され、七之助さんと長三郎さんがご共演なさっている記念の一幕です。
昨年の一月にも上演されていたため、お話したものがいくつかございます。ここにひとつまとめてみますので、何らかのお役に立つことができればうれしく思います。
そもそも奥州安達原とは
奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)は、1762年(宝暦12)9月大坂は竹本座にて人形浄瑠璃として初演され、歌舞伎化された演目です。
歴史上のできごと「前九年の役」を題材として、謡曲の善知鳥や安達ケ原の鬼女伝説などの要素を織り交ぜ、見ているだけでも冬の奥州の寒さが骨身に染みるような作品に仕上がっています。
前九年の役は陸奥の豪族であった安倍頼時とその息子の貞任・宗任が起こした反乱を、朝廷から派遣された源頼義・義家が平定したというもので、源氏が東国に勢力を築いたきっかけのひとつになりました。
ざっくりとしたあらすじ
まずはあらすじについてお話した一連の回です。ざっくりとと言いながら5回に渡ってしまいましたが、前後のお話や事情などを含めてお話しております。
瞽女(ごぜ)という職業
今月七之助さんがお勤めになっている袖萩は、数ある女形のお役の中でもとりわけつらく悲しい境遇にある女性です。そんな袖萩にゆかりのある瞽女というお仕事についてお話したのがこちらの回です。
奥州の演目といえば