新型コロナの外出自粛期間に始めた「Googleストリートビューで芝居の舞台となった場所とその周辺を訪ねてみる」という遊び。本日もひとつ訪ねてみようと思います。ゆるゆるとした旅ですがみなさまもぜひご一緒にいかがでしょうか。
先日、歌舞伎座で千穐楽を迎えた二月大歌舞伎にちなみまして、第一部「本朝廿四孝」ゆかりの地をうろうろしてみたいと思います。春ですから、広い湖など見てみたくなりました。
ノープランで行き当たりばったりのうえ、画像そのものを貼ることができず地図埋め込みのみとなりますが、何卒ご了承くださいませ。
前回:仮名手本忠臣蔵 七段目 祇園一力茶屋の場 編
本朝廿四孝 とは
「本朝廿四孝」は、八重垣姫というお姫様が、死んだはずの許嫁・武田勝頼が実は生きていたと知り、その命を救いたい一心で燃え上がって狐の霊力を呼び寄せて凍てつく諏訪湖を渡ってしまうというお話であります。
主役の八重垣姫は、歌舞伎や浄瑠璃に出てくるお姫様の典型といえる恋愛体質かつ激情型の女性で、女形の大役と言われる三姫のうちのひとつです。
さっそく行ってみましょう
「本朝廿四孝」は武田信玄と上杉謙信の対立という歴史上の出来事が元ネタとなっているものの、フィクションが濃すぎて収拾がつかなくなりそうですので、ここはもうシンプルに八重垣姫をメインとして諏訪湖や諏訪明神を見物することとします。
長野県諏訪市はこのあたりのようです。
まずは八重垣姫に力を授ける諏訪明神の使わしめである白狐にちなんで諏訪大社をお参りします。
仁左衛門さんの紋に反応してしまいましたが、よく見ると石屋さんのようです。
店構えが素敵です。 石切梶原の爽やかなお姿を思い出しました。
諏訪大社の境内地は四か所あるそうですが、今回は本宮へ参ります。
厳かな雰囲気が漂っていますね…
いきなり不思議な建物が出現しました。トンネルのようで先が見えません。
結構な長く続いていますね…このような神社は初めてみました。
諏訪大社のサイトによれば「幣拝殿と片拝殿のみで本殿を持たない、諏訪造りという独持の様式」とあります。本殿を持たない、興味深いですね。
素敵な巫女さんの姿が見えました。
本殿がないとのことで、この参拝所という建物でお参りをするようです。
画面越しですがお参りをして旅を続けます。後ろから後光のように日の光が差していて神々しいですね!
どうやら大鳥居ではないところから侵入してしまったようです。本来はここから入るのでしょうか…すみません。
大鳥居を出ると、堂々たるみやげ店が立ち並んでいました。広重の絵のようです。
炭治郎が最初に背負っていた駕籠のようなものも売られていますね。古くから農村部ではお馴染みのアイテムであったのだろうと思います。
場所を移りまして、諏訪湖のほとりへやってきました。
大きな湖です。空が反射して美しいですね。長野県の厳しい寒さによって冬には凍ってしまい、このあたりは氷の世界となるようです。
この湖の表面に厚い氷が張ると中央にぴしぴしと亀裂が入り、その亀裂が氷の膨張によって盛り上がって道のようになることがあるのだそうです。それがまるで諏訪大社の上社から下社へ神さまが渡ったように見えるので、「御神渡り」と言われています。
最初に渡るのは使わしめの白狐であると伝えられているため、八重垣姫も狐と一緒に渡るのですね。
ちょうど冬に撮影されたものもGoogleストリートビューに掲載されていました。染み入るような寒さが写真からも伝わります。
「翅(つばさ)が欲しい、羽が欲しい、飛んで行きたい、知らせたい、逢いたい、見たい」という八重垣姫の願いが爆発するような言葉も、こうした風景を見ているといっそう切なく胸に迫るようです。
諏訪湖の湖面になにやら女性の像が立っているのが見えますね。
なんと、これは八重垣姫の像だそうです!
舞台同様の兜を手にした形ですが、ものすごく強そうでカッコいいです。湖も渡れそうな気がします。
諏訪大社と諏訪湖を眺めてまいりましたが、どこものどかで素敵な風景でした。
観光地に行ったり、ご当地ソフトクリームを食べたりしたい気持ちが高まってまいりましたが、果たしていつになるでしょうか。