東京では桜の見ごろもそろそろ終わりのようですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。このすえひろはといえば、湯たんぽを入れてフリースを着て寝てしまい、暑さで目が覚めてしまいました。夜中に急に冷える日があるものですから、毎年悩まされる問題です。
ぶらぶらとネットサーフィンをしておりましたら、国立国会図書館デジタルコレクションにて浄瑠璃絵尽くしの「一谷嫩軍記」を発見いたしました。浄瑠璃絵尽くしというのは、浄瑠璃の内容を流れに沿って一枚の絵にしてある上方の出版物であります。
インターネット保護期間満了ということで自由に貼り付けることができますので、「熊谷陣屋」前後の部分思われる絵をご紹介したいと思います。解説などは出来ませんが、御一緒にいかがでしょうか。
一谷嫩軍記 座本は豊竹越前少掾です。
最初のページはこのように始まるのですが歌舞伎ではあまり馴染みのない場面です。
このあたりから、あれ、陣門・組討かなと思われる描写が見られますね。
拡大してみるとこうです。右が熊谷、左が敦盛と見せかけた小次郎ではないでしょうか。
ここからがお馴染みの「熊谷陣屋」にあたる場面ではないかなと思われます!
拡大してみますと・・・
藤の方の吹く青葉の笛で敦盛のシルエットが出現するシーンや、
制札を持った熊谷の首実検のシーン、
鎧櫃に入った敦盛と蓋を閉めようとする宗清、梶原と思しきさむらいが殺されるシーンなどが描かれています。「熊谷陣屋」の場面と思われる部分はここで終わり、続きはまた馴染みのない場面が続きます。
歌舞伎ではドラマチックに演出されることの多い熊谷の出家のシーンが、この絵ではあっさりと流されているところがおもしろいですね。これは浄瑠璃の絵ですので、当初は熊谷の生きざまではなく源平の複雑な攻防こそがお話の主眼であったということがよくわかります。
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