しばらく全国的に天気予報雨模様だそうですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
このすえひろはといえば、おかげさまで風邪も引かず元気に過ごしております。
先日、渋谷のbunkamuraにてコクーン歌舞伎 第十七弾 夏祭浪花鑑を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。
特にネタバレということもないとは思いますが、絶対にネタバレを避けたい方はどうぞこの先をお読みにならないようご注意くださいませ。
勘九郎さんの団七は動く浮世絵のよう
今回のコクーン歌舞伎は、緊急事態宣言に伴い開幕が遅れ、12日（水）からの幕開けとなってしまいました。そのため思いがけず初日の第一回目を拝見した次第です。
学生時代、2008年のコクーン歌舞伎第九弾 夏祭浪花鑑を当日券のバルコニーから拝見した時のこと、勘三郎さんの火球のごときエネルギーが忘れられずにいます。舞台の後方が開いてパトカーが突入してきたシーンの衝撃もいまだ鮮烈に目に焼き付いていたので、今回の公演には特に思い入れがありました。私ばかりでなく、そのような方が大勢おいでのことと思います。
今回の夏祭浪花鑑は感染対策のため様々な制約があったことと思いますが、その枠からはちきれそうな熱気に包まれていました。素晴らしい舞台の全てが日の目を見ずに中止になる最悪の事態は避けることができ本当に良かったです。
特に私の拝見していた座席の角度からは勘九郎さんの姿が浮世絵そのもののように見えてしまい興奮しきりでした…！
勘九郎さんのお顔の江戸的なカッコよさはもちろんのこと、体のしなやかさが浮世絵に描かれる歌舞伎役者の体つきそのもので…。鳥居前は豊国調のカッコよさ、殺しの場で差し出しに照らされている姿は写楽調の鬼気迫る迫力があり、全編にわたり浮世絵を3Dアニメ化したのだろうかと思ってしまうような美しさで興奮しすぎて汗をかきました。
また松也さんが徳兵衛とお辰の二役をお勤めになったのもおもしろかったです…！特にお辰の色っぽさと心意気がたまらず、なんてカッコいい女房なんだと思いました。そのうえ可愛らしさもあり、憧れる女性像です。
そして虎之介さんの玉島磯之丞に柔らかみと本当に良い意味でのアホさが感じられて印象深かったです。これからのコクーン歌舞伎にも度々ご出演になるのでしょうか、楽しみに思います。
今回は販売数をかなり絞っているとみえて客席は静かで、おなじみの客席と一体になるような演出ももちろんありませんでした。専門家ではないのでわかりませんが、素人目には劇場の感染対策は万全であるように見えました。
12日以前の切符をお持ちであった方の心情を思いますとやるせない気持ちになります。この先も千穐楽まで無事に上演されるようにと願うばかりです。
近い将来、演出等もすべて制約なしの完全体で、客席をぎゅうぎゅうにした上演がありますように。そのためにも早く社会活動が通常に戻るようにと切に願っています。
