ただいま大阪松竹座で上演中の七月大歌舞伎!
2019年以来、実に二年ぶりとなる関西・歌舞伎を愛する会の七月大歌舞伎であります。関西・歌舞伎を愛する会は、歌舞伎発祥の地である関西で歌舞伎興行が厳しい状況に置かれてしまっていた時代に、地域での歌舞伎への関心を高め文化を復興を目指して発足されたボランティア団体です。久しぶりの上演で大阪の歌舞伎が再び盛り上がることを願っています。
昼の部で上演されている「伊勢音頭恋寝刃」については、過去に上演された際にいくつかお話したものがあります。古い記事で今以上に拙くお恥ずかしいのですが、何らかのお役に立てればうれしく思います。
そもそも伊勢音頭恋寝刃とは
伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)は、 1796(寛永8)年7月に大坂の角の芝居で初演された演目です。
同じ年にお伊勢参りの観光スポットにあった遊郭・油屋で起こったショッキングな殺人事件「古市十人斬り」を題材としています。事件の発生は初演の数日前と言われていますので驚きです。当時の芝居には、人々に事件のあらましを伝えるニュースの再現VTRや事件の実録ドキュメンタリー番組的な側面があったようです。
夏のお伊勢を感じる演出
「伊勢音頭恋寝刃」はお伊勢参りの風物や夏らしさを感じさせる演出が演目の随所に盛り込まれ、風情ある夏芝居として人気を博しました。
江戸時代の人々には旅行が人気であったそうですから、芝居を見ながら旅気分が感じられるという点でも好評だったのかもしれません。さきほどはニュースやドキュメンタリー番組と申しましたが、むしろ二時間サスペンスの湯けむり系といったニュアンスだったのかなと想像します。
福岡貢は「ぴんとこな」
主役の福岡貢のような男性像を差す歌舞伎ならではのことば「ぴんとこな」について簡単にご紹介したのがこちらの回です。