ただいま大阪松竹座で上演中の七月大歌舞伎!
2019年以来、実に二年ぶりとなる関西・歌舞伎を愛する会の七月大歌舞伎であります。関西・歌舞伎を愛する会は、歌舞伎発祥の地である関西で歌舞伎興行が厳しい状況に置かれてしまっていた時代に、地域での歌舞伎への関心を高め文化を復興を目指して発足されたボランティア団体です。久しぶりの上演で大阪の歌舞伎が再び盛り上がることを願っています。
夜の部で上演されている「双蝶々曲輪日記 引窓」については、過去に上演された際にいくつかお話したものがあります。古い記事で今以上に拙くお恥ずかしいのですが、何らかのお役に立てればうれしく思います。
そもそも双蝶々曲輪日記とは
双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)は、1749年に大坂竹本座にて人形浄瑠璃として初演されたお芝居。江戸時代のスター職業のひとつである、おすもうさんが主役であります。
物語に登場する二人のおすもうさん「濡髪長五郎」と「放駒長吉」の名前からふたつの長の字をとって、「双蝶々(ふたつちょうちょう)」とついています。
物語そのものは全部で九段の長いものですが、今日では人気の場面「角力場」「引窓」がそれぞれ単独で上演されることが多いです。今回の上演は「引窓」のみであります。
「引窓」のあらすじ
そんな御贔屓思いの濡髪長五郎は「引窓」で、なんと殺人犯になって追われる身となっています。複雑な家庭の事情のもとそれぞれの情愛が交錯する、胸に染み入るようなホームドラマです。
ざっくりとあらすじをご紹介したのがこちらの回です。上演のタイミングや諸々の事情により内容が前後したり変更されたりする場合がありますのでご了承ください。
放生会のいまむかし
「引窓」の場面は放生会の夜という状況設定が非常に重要です!江戸の人々にとって放生会とはどういったイベントだったのかをご紹介したのがこちらの回です。
江戸時代の窓事情 江戸と上方
「引窓」の場面の重要キーワードはなんといっても窓です。内容とは全く関係ありませんが、江戸時代の引窓について江戸と京大坂の事情を調べてみたのがこちらの回です。
「引窓」ゆかりの地
演目のゆかりの地をストリートビューで巡ってみたのがこちらの回です。
フィクションであるにもかかわらず、「引窓南邸跡」という石碑が現実世界に設置されているというおもしろい現象が起こっています。昔の人も聖地巡礼的な楽しみ方をしていたのかなとおもしろく思います。
「角力場」のざっくりとしたあらすじ
「角力場」と「引窓」、かならずどちらも見ておかないとお話の内容がわからない…ということはございませんので、その点はご安心くださいませ。
しかし「角力場」の内容を把握しておきたい…という方もいらっしゃるかと思いますので、本当にごく簡単にお話した回をご紹介いたします。一言で申せば「ベテラン力士の濡髪長五郎が、御贔屓への義理のため、新人力士放駒長吉にわざと負ける」という物語であります。