各地で急な豪雨が報じられていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。近ごろは天気の変化が急激で本当に恐ろしいですね。何卒お気をつけくださいませ。
このすえひろはおかげさまで元気に過ごしておりますが、海抜ゼロメートル地帯住まいですので江戸川や荒川にもしものことがあればとても暮らしを保てません。江東5区だけでなく、歌舞伎座のある銀座も危ういといわれていますね。個人では対策しようのない問題ですが、どう逃げるか想定しながら過ごしたいと思います。気象情報の技術が発達してきていますので、最新情報を入手しつつ警戒してまいりましょう。
さて、先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして七月大歌舞伎の第二部を拝見してまいりました!備忘録として、少しばかり感想をしたためておきたいと思います。
超美的鈴ヶ森
第二部は「身替座禅」「御存 鈴ヶ森」という狂言立てです。
「身替座禅」は白鸚さんの右京に、芝翫さんの奥方玉の井という意外な組み合わせ。太郎冠者に橋之助さん、千枝小枝は米吉さん莟玉さんという配役でした。
身替座禅といえば、恐妻に浮気がバレて怒られるというユーモアにあふれた演目であります。女性の立場で見れば正直たまったものではないのですが、どういうわけか笑えるという不思議な演目ですね。許せてしまうのは浮気夫の右京のかわいらしさによるものと思われます。現実ではどれほどかわいかろうが許せるはずがないと思いますけれども。
右京は様々な方がお勤めになっていて、これまでもたくさん拝見していますが、白鸚さんの右京の思い出がまったくないなあと思っていました。それもそのはずで今回が初役とのことです。78歳で初役に挑まれること敬服しきりです。真面目に生きてきたのについ恋して浮かれてしまったといったような右京だなあと感じ、とても楽しく拝見いたしました。
今回は白鸚さんばかりでなく、米吉さん以外は皆様初役ということで、全体に新鮮なおもしろさがありました。芝翫さんの玉の井もとても大きくて強そうでありつつ、可愛らしかったです。
「御存鈴ヶ森」は、幡随院長兵衛に錦之助さん、白井権八に菊之助さんという配役です。当初は吉右衛門さんが幡随院長兵衛をお勤めになると発表されていましたが、療養につき全日程休演されています。
飛脚には吉之丞さん、和尚には亀蔵さん。雲助の方々は汚しのせいもあってちょっと3階から判別しきれずでしたが、権十郎さん彦三郎さん橘太郎さん團蔵さんといった豪華な配役だったようです。(現在は亀蔵さんは休演されています)雲助の汚さが闇夜に浮かぶ権八の美しさをいっそう際立たせていますから、これはやむを得ません。
なんといっても菊之助さんの麗しさ…本当に輝くばかり、いかにもスターという存在感でした。美しいのはもちろん、狂気をはらんだような刀さばきに引き付けられました。そして登場する錦之助さんの幡随院長兵衛のカッコいいこと。役者絵を見るようで、目の保養になる鈴ヶ森でした。鈴ヶ森でオペラグラスを固定し集中したのは初めてかもしれません。
播磨屋の兄貴に教わって…というセリフもあり、吉右衛門さんの長兵衛を拝見できる日が待ち遠しくなりました。心待ちにしております。
余談ですが、現在銀座の街のそこここで配布中の「銀座百点 800号」に仁左衛門さんと玉三郎さんの対談が掲載されていますね!
このすえひろも芝居に出かけた折にいただいてまいりました。貴重なお話盛りだくさん、ボリューム満点の内容ですのでぜひにとおすすめいたします!