歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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歌舞伎座 八月花形歌舞伎 第二部 真景累ヶ淵・仇ゆめを見てきました!2021年8月

緊急事態宣言が延長の運びとなったようですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。現在この宣言が一体どう機能しているのかよくわかりませんけれども、いろいろな状況に苦しんでいる方の負担が少しでも減るようにと願っています。みなさまもどうぞご自愛くださいませ。 

このすえひろはといえば、近くワクチンの2回目の接種を受けにまいります。いわゆるモデルナアームという1回目のほてりがまだ若干あるような気がしており次はどこまで症状が出てしまうのか少し不安ですが、できる限り準備をして安静に過ごしたいと思います。

さて、先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして八月花形歌舞伎の第二部を拝見してまいりました!備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。

仇ゆめに涙

第二部は、三遊亭円朝の人情噺をもとにした怪談「真景累ヶ淵」と、中村屋ゆかりの舞踊劇「仇ゆめ」という狂言立てです。勘九郎さんと七之助さんのお姿を歌舞伎座の舞台で拝見するとなんだか夏を感じます。

真景累ヶ淵」は、七之助さんの豊志賀に鶴松さんの新吉、お久さんには児太郎さんという配役です。噺家さん蝶は勘九郎さん、伯父勘蔵は扇雀さんがお勤めになりました。

七之助さんの豊志賀がじっとりと恐ろしくて哀れで、そのうえほのかにおかしくもあり、気持ちが忙しかったです。鶴松さんの新吉も、年上の女性を虜にする色男というよりも、一生懸命介護に努めて心底疲れ切ってしまったようすで哀れでした。児太郎さんのお久も日々追い詰められていることが見えて、なんだか妙に共感してしまう新吉とお久で新鮮でした。

 

続く「仇ゆめ」は、勘九郎さんの狸に七之助さんの深雪太夫、虎之介さんの舞の師匠、扇雀さんの揚屋の亭主という配役でした。狸が島原の深雪太夫に恋をしてしまい、舞踊の師匠に化けて近づくという舞踊劇です。勘九郎さんの狸の健気さ、狸の正体を知った七之助さんの深雪太夫の優しさが胸に迫りました。

この演目は愉快で楽しいのですが、なんだかもう本当に悲しくなってしまうのですよね…。途中から幕切れを思い、もうそんなに狸をいじめないであげておくれと思ってしまいます。たぬきの衣裳の紋が肉球なところもたまりません。

 

下記は第一部の感想でも書いたことですが、劇場へ出かけるみなさまと改めて共有したく再度記載いたします。

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私が偉そうに申すことでもないのですが、このところ整列退場が守られにくくなっているのかなという印象を受けて少し気になっています。たまたま私が出かける日に限ってはの話なのかもしれませんが、係の方が客席に入る前に退場なさる方が以前よりも増えたように思います。恐らくお一人お一人に悪気はなく、場のムードでそのようになってしまうのではないかとお見受けします。

歌舞伎座は基本的にカーテンコールがないこともあってか、もともと幕が閉まればお客さんも一目散に退場するところがあります。以前ご一緒した方に、みんなどんどん帰っちゃうんだね!と驚かれたこともありました。

しかし現在は劇場玄関や通路の密集を避けるため、退場の際は係の方の案内があるまで着席して待つように協力を求められています。劇場公演が安全に継続されるため、また我々の健康のためにもなることなので、ともに守っていきましょう。一日も早く、以前のような観劇スタイルが戻ることを願っています。

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