春休みらしい行楽日和が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
このすえひろはといえば、地元の江戸東京博物館に行ってまいりました!何時間あっても足りない江戸好きにとっての天国です。
江戸東京博物館はあさって4月1日から休館し、長期にわたる大規模改修に入ってしまうため、その前に江戸を浴びておきたいと思ったためです。
河内山の言っていたあのメニューが
江戸東京博物館の見どころといえばなんといっても原寸大の模型の数々、なかでも中村座の模型はいつ見ても心が踊ります!
このときの中村座には大好きな五代目岩井半四郎が出ているというのも熱いです。叶うことなら中に入って、芝居を見ていきたいくらいです。
この小屋の内部にある芝居のコーナーも素晴らしく、中村座の内部を覗く出来る建築模型や、「東海道四谷怪談」蛇山庵室の場の仕掛けを再現したからくり、助六由縁江戸桜の舞台を再現した人形などが並んでいます。
ここでは助六の人形を見ながら、歌舞伎座さよなら公演での團十郎さんの名乗りセリフの音声を再生することができるのも熱いのですよね…。展示がリニューアルされた際に追加されたと記憶しています。團十郎さんのお声が懐かしくって泣きそうになります。
これから大改修が行われるということですが、これらの展示物がなくなることなく、パワーアップしてくださることを願っています。
そんな中、町人のくらしのコーナーでこんなものを見つけました。
目刺し鰯に八杯豆腐の「日常の膳」です。なんだか聞き覚えのあるメニュー、三月歌舞伎で上演されていた河内山に出てきたものでした。
夕陽亭文庫さんの歌舞伎脚本集によればここのセリフはこうです。
「失礼ながらこなた衆は八杯豆腐や目刺鰯の総菜ばかり喰っているから、その工夫はつくまいて」
河内山が言っていた「良い工夫の浮かばない食事」がまさにこれなんだなあと思い、おもしろくなりました。
不勉強ゆえ八杯豆腐という料理がどのようなものか想像できていなかったので、思いがけず食品サンプルを見ることができ感激です。
調べてみますと八杯豆腐というのは、拍子木切りにした豆腐を水やだし汁、酒、しょうゆで似たものだそうで、くず粉でとろみをつけることもあったそうです。非常に質素な食事をしていたことが伺えます。肉体を酷使する仕事も多かったでしょうし、冬はとても寒かったと思うのですが、この食事で大丈夫だったのかなあと心配になりました。
これに対し、年がら年中豪勢な食事をしていた河内山。
「年がら年中上綺羅で大々名へ出入りをして、上等の物を食していれば、また分別も上等の工夫がいくらも出るて」
と豪語していた、そのメニューも知りたいところです。
江戸東京博物館の再開は令和7年度中ということです。そのころ自分はどこで何をしているんだろうと思うとゾッとしますが、再び江戸博で江戸を浴びることができる日を心待ちにしております。