歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

三月をふりかえり… 2022年

早いもので三月も今日でおわり…先月始まったロシアのウクライナ侵攻は今もなお続いており、国内でも大きな地震や大規模な停電、新型コロナの再拡大の可能性など不安の尽きない日々でしたね。これまで世界にそんな日は一日たりとてなかったと言えるかもしれませんが、それでも一日も早く平穏な日が戻ることを祈っています。

仁左衛門さんの河内山

今月は特に歌舞伎座の第二部を重ねて拝見しまして、仁左衛門さんの河内山と菊五郎さん時蔵さんの芝浜を続けて拝見するというこの上なく贅沢な時間を繰り返し味わい、恍惚の日々でした。

感想は先日お話したばかりですので、こちらは割愛しますが、もうとにかくカッコよかったですね…。単純にお顔立ちやお姿が良いという意味ではなくて、もちろんそれは疑いようのない良さなのですが、それ以上に河内山の人物像ってこんなにカッコよかったかなあ、河内山がカッコいいとこんなにおもしろいんだなあという発見が気持ちよかったです。

仁左衛門さんのお芝居の感想で「カッコいい」と言うと、「お顔やお姿がカッコいい」と言っていると思われてしまいがちですが、お顔や姿、声の信じがたいほどのカッコよさというのは仁左衛門さんのカッコよさの一部の要素であって、もっと総合的なお芝居のカッコよさのことを言いたいのだ私はという葛藤を毎回覚えます。どう言ってもとにかくカッコいいという結論になってしまうのですけれども。

 

今月の上演中、休演の報に触れたときは、どうにもこうにも心配でたまらず、不安な日々を過ごしました。思っていた以上に早いご復帰で安堵いたしましたが、今後もどうかご無理なさらないでいただきたいですね。いつまで末永くお健やかでいらしてほしいと心の底から願っています。

来月の玉三郎さんとのご共演もどうか千穐楽までご無事でありますように。

 

今月の芝居のなかでは、国立劇場で上演されていた菊之助さんの「盛綱陣屋」も大変印象深く思い出されます。菊之助さんの芸の伝承にかける思いを感じ取り、身が引き締まるような思いがしました。

歌舞伎を愛するうえで、悲しいこと、不安なことがたくさん起こっていますが、この方が舞台に立たれている限りはきっと歌舞伎を好きでいられるだろうなと思うことができ、深い安心感を得ました。菊之助さんが年齢を重ねられ、芸を深められるのとともに、自分自身も見聞を深め、心の機微を深く感じ取れる人間に成長していきたいと思います。

 

菊之助さんといえば朝の連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」がいよいよクライマックス目前ですね!あと一週間で終わるというのに結末が全く読めず、毎朝ドキドキしています。約半年にわたり壮大であたたかく、素晴らしい物語に触れることできたことをしあわせに思います。

100年間のドラマの中で、二世代にわたり登場したモモケンこと桃山剣之介、役どころを噛みしめれば噛みしめるほどに、菊之助さんのキャスティングの妙に唸らされました。菊之助さんであるからこその魅力、重みだったのではないかなと思います。

 

今日のあさイチにも菊之助さんがご出演で大興奮でした。お茶の間のお子様方もモモケンを把握されていると知り、将来の歌舞伎ファンとなられるのではないかと心躍りました。人は何をきっかけに沼に落ちるかわからないものですから、接触機会は重要ですよね。

また、放送中に菊之助さんが直々に歌舞伎のオススメ演目をプレゼンされていたのですが、これがさすがのセレクトでした!NHKプラスで配信されていますのでお見逃しになった方もぜひにとおすすめいたします。 

 

さて、来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。

楽しみに今夜は休みたいと思います。おやすみなさいませ。

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.