昨日は台風で暴風が吹き荒れたようですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今回の台風1号はマラカスという名であったそうですね。気になって調べたところフィリピンの言葉で「強い」という意味で、楽器ではないそうです。自然発生して消えていく台風という存在に名前を付けるという行為そのものが、なんだかおもしろいなと思います。
それはさておき、先日東劇へ出かけまして、現在上演中のシネマ歌舞伎「桜姫東文章 上の巻」を拝見してまいりました!とにかく濃厚で素晴らしかったです…。シネマ歌舞伎ということを忘れてうっかり拍手をしそうになりました…。備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。
編集協力のお二人の名前に感涙
シネマ歌舞伎「桜姫東文章 上の巻」は、昨年2021年4月に歌舞伎座で上演されて大きな話題を呼んだ舞台のシネマ歌舞伎版です。かつて孝夫時代の仁左衛門さんと玉三郎さんが「孝玉コンビ」としてお勤めになり、社会現象をも巻き起こした伝説的な演目を、実に36年ぶりにお勤めになったという奇跡の舞台でした。
コロナ禍という状況もあり、通し狂言であるところを「上の巻」「下の巻」と分け、月をまたいで上演されました。そのため、シネマ歌舞伎も「上の巻」「下の巻」に分かれていて、現在上映されているのは「上の巻」です。
孝玉コンビによる桜姫東文章のすさまじい美は、伝説のごとく語り継がれていたものです。名舞台というものは数多あれども、伝説化までする芝居はそう多くはないと思います。
そんな舞台が36年の時を経て再び上演されるとは…。圧倒的な美しさに劇場中のそこかしこから感嘆のため息が聞こえてくるようでした。このすえひろも、お二人と同じ時代を生きることができたよろこびをひしひしと噛みしめました。
あの素晴らしい時間を、シネマ歌舞伎として劇場空間で生き生きと体験できるということ、テレビやDVDなどでは得られない特別な喜びがありました。
上の巻といえばやはり、桜姫と権助の濡れ場の美しさですよね。舞台で拝見していたときもそうでしたが、シネマ歌舞伎ですと映像であるためか「見てはいけないものを見ている」感がより一層増して動揺しました…。すごかったです。
また映像ゆえに玉三郎さんの白菊丸の桜姫とは違った少年感や、香箱の「清玄」の文字などが見えたのもおもしろかったです。ものすごく潔く海へ飛び込んでいた白菊丸の魂は、桜姫には少しも残っていなそうですが、一体どこへ行ってしまったんでしょうね。
そしてエンドロールに「編集協力 片岡仁左衛門 坂東玉三郎」とあり、お二人のこだわりの詰まった編集にて拝見できたこと、感謝の思いでいっぱいになりました。お二人の桜姫東文章がシネマ歌舞伎のなかに永久に保存され、後世に伝わると思うと泣けてきました…。おおお
当日券の場合、四月大歌舞伎のチケット提示で割引があるそうです!ぜひにとおすすめいたします。