ただいま歌舞伎座で上演されている團菊祭五月大歌舞伎!
第二部で上演されている「歌舞伎十八番の内 暫」は、正義の超人ヒーローが善良な市民を悪から救うという、歌舞伎らしさに溢れたワンシーンです。昨年開催された東京オリンピックの開会式でも披露されましたね。今月は開会式と同じく海老蔵さんによる「歌舞伎十八番の内 暫」で、圧倒的な華やかさを堪能できるはずです!
「歌舞伎十八番の内 暫」については過去にお話したものがございますので、ここにひとつまとめてみます。芝居見物や放送、配信などのお役に立てればうれしく思います!
歌舞伎十八番の内 暫とは
暫(しばらく)は、市川團十郎家・成田屋に伝わる家の芸を集めた「歌舞伎十八番」のうちの一つに数えられる演目です。 芝居、演目というよりは、場面、シーンといった方が近いかもしれません。原形とされる芝居が上演されたのはなんと1600年代という、非常に古いものです。現行の上演形式は明治時代の上演に則っています。
古い演目の多くは物語のドラマ性というよりも、スタイルそのものを楽しむというものが多いので、あまり難しく考えることなく感覚で楽しむことができるかと思います。
江戸の人々にとっての「暫」
江戸の人々にとってこの「暫」は、なんらかのご利益を期待したくなるような特別な存在であったようです。そのことについて、当時の浮世絵をご紹介しながらお話したのがこちらの回です。
映像で見る「暫」
こちらはNPO法人科学映像館のyoutubeチャンネルにて公開されている歌舞伎紹介映像についてご紹介した回です。1964年制作の30分ほどの映像で、全編ではないものの「暫」も紹介されていますので、ちょっとした予習などにお役立ていただけるのではないかと思います!
江戸スターたちの「暫のツラネ」比較
暫の見どころの一つが「ツラネ」です。主人公が堂々と披露する自己紹介の長セリフといったところで、お勤めになる方や上演のタイミングで微妙に内容が変わるのがお楽しみです。
こちらは完全に私の趣味で、江戸時代の役者たちが披露したツラネをいくつかご紹介し、比べてみた回です。マニアックではありますが、江戸時代の芝居小屋の空気感が感じられて非常におもしろいものですので、ご興味をお持ちでしたらぜひ読み比べてみてください。