ただいま歌舞伎座で上演されている團菊祭五月大歌舞伎!
第二部で上演されている「新古演劇十種の内 土蜘」は、音羽屋の家の芸として伝わる舞踊劇の名作を、菊五郎さん・菊之助さん・丑之助さんの三代そろい踏みでお勤めになる記念すべき舞台です。
「新古演劇十種の内 土蜘」については過去にお話したものがございますので、ここにひとつまとめてみます。古く稚拙なものでお恥ずかしいのですが、何卒ご容赦ください。芝居見物や放送、配信などのお役に立てればうれしく思います。機会を見てまた改めてお話いたします。
「新古演劇十種の内 土蜘」とは
新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)は、明治14年(1881)に初演された河竹黙阿弥作の舞踊劇。ごくごく簡単なあらすじと、役柄についてお話したのがこちらの回です。上演前にパッとお読みいただく程度の内容ですのでお急ぎの際などお役立ていただければと思います。
不気味さがたまらない見得
「見得」と呼ばれる歌舞伎の象徴的なポージングにはさまざまな種類があります。
土蜘には「畜生口の見得」と呼ばれる特徴的なものがあり、ゾクッとするような不気味な雰囲気がなんともえいずカッコいい名場面です。横目でじろりと見ながら数珠を口元に当てるというものなのですが、これは一体何を表しているのかということをお話しいたしました。
「土蜘」はクモではない?
舞踊劇のクライマックスでは蜘蛛の精の本性を顕し、舞台上で蜘蛛のシンボルといえる糸をシュパシュパとまき散らす僧・智籌(ちちゅう)。客席が大いに盛り上がる場面です。しかし、智籌はスパイダーマンだったのだ!という単純な話ではなさそうです。「土蜘」という言葉には、いわゆるクモだけではない深い意味がある…ということについてお話したのがこちらの回です。
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「能」が下敷きの演目のお約束
土蜘では舞台の上の大道具が松の絵一枚と非常にシンプルなことも大きな特徴です。能の「土蜘」という作品を素材としており、能が題材であることを示すお約束として「松羽目」という大道具が採用されているためです。土蜘に限らず他の演目でも見られる「松羽目」というものについてお話したのがこちらの回です。
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