本日27日は歌舞伎座で上演されていた團菊祭五月大歌舞伎の千穐楽でしたね!おめでとうございます!
※写真は過去の公演です
\しばらくしばらく/
私もつい先日歌舞伎座へ出かけまして、第二部を拝見してまいりました!
千穐楽のよろこびと併せ、備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。二部を拝見すると歌舞伎を見たぞという満足感で胸がいっぱいになり、團菊祭なんだなあと嬉しくなりました。成田屋と音羽屋の芸が末永く伝承され、團菊祭の楽しさがいつまでも続いてほしいものです。
「暫」は、海老蔵さんの暫に左團次さんの武衡、又五郎さんのなまず、孝太郎さんの照葉という配役でした。拝見した日はお声が特によく伸びていて「しばらくしばらく」という声が、まさしくお腹のあたりがびりびり、胸がどきどきとするようなもので、大変心が踊りました。
「暫」のような演目は、何一つとして現実感がなく、今私は一体何を見ているんだろうかと白昼夢を見ているような気持ちになり、妙な興奮を覚えるので大好きです。「誇張しすぎた○○」のオンパレードというような。今のところ歌舞伎でしか得られていない興奮で、これはやめられないなと思います。
海老蔵さんが花道におられるようすなどは、やはりお顔の造形が見事で、有名な歌川国政の市川蝦蔵(五代目團十郎)の暫を思い出しました。この絵ですね(シカゴ美術館)
絵なので実際のところはわかりませんが、当代の海老蔵さんはこの五代目團十郎よりも良い造形をお持ちに違いありません。ぜひまた歌舞伎座の舞台で、底抜けな成田屋の芸を拝見したいです。心待ちにしております。
続く「土蜘」は、菊之助さんの智籌に菊五郎さんの頼光、そして丑之助さんの音若と、音羽屋の三代そろい踏みの記念すべき一幕でした。丑之助さんはまた立派になられて驚かされました。
全体に張り詰めたような緊張感が漂う心地よい一幕で、夢中になって拝見しました。特に菊之助さんの智籌がよい意味で不気味で…。音もなく花道に現れた時からゾッとするような妖しさに目を奪われてしまいました。
また友人から菊五郎さんの頼光が素晴らしいという話を聞いておりまして、そのうえで拝見しますと、確かに友人の言う通り、存在の重みが感じられる頼光でした。であるからこそ、この国を魔界にしようという智籌の底知れぬ恐ろしさが際立ち、物語の世界がより鮮明に感じられたように思います。
そういえば智籌は、「頼光を殺してやろう」という個人のスケールで動いているのではなくて、「日本を魔界にしよう」としているのですものね。そのためにまず倒さねばならない頼光というのは、相応の輝きがあるはずだと腑に落ちました。
今月はとにかく、菊五郎さんのすごさを思い知らされるひと月でした…。何気ないように見えるのがいかにすごいことか間接的に気づかされます。この「間接的に」というのがまたカッコいいですね。