今日は竹三郎さんの訃報にふれ、悲しみでいっぱいです。
私が歌舞伎を見始めてから拝見したのは大半がおばあさんのお役ではありましたが、89歳とのご年齢に驚きいりました。そんなにお年を召されていたとは。
おばあさんのお役でもいつもお綺麗で…。また舞台でお姿を見せていただけるものと思いこんでおりましたので、喪失感に打ちひしがれております。
藤十郎さんと秀太郎さんが亡くなられ、またしても貴重な上方の女形の役者さんがこの世を去られたこと、どう受け止めたら良いのか。特に竹三郎さんのような、舞台の脇で空気を醸し出してくださるような方は本当に貴重でした。
「すし屋」のお米が大好きでした。秀太郎さんの小せん、竹三郎さんのお米で、仁左衛門さん権太の「すし屋」がもう一度見たかったのですが。この数年のうちに、愛する数々の芝居から大好きな独特の味わいが永遠に失われてしまったのかと、もうなんとも表現しがたい思いです。
同じ芝居を何度も見ていても、あの年あの配役こそが自分にとってのゴールデンベストというものは確実にあって、ずっとその思い出ごしに芝居を見ていくことになるのかと思うと、なんだかちょっと心が折れそうになります。しかしそれほどの思い入れを持てる芝居に出会えたことはこの上ない幸福であり、89歳というご年齢を考えますと、ご活躍の間に間に合って本当によかったと心から思います。ありがとうございました。