歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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六月をふりかえり… 2022年

早いもので六月も今日でおわり…

今月は坂東竹三郎さん、澤村田之助さんの訃報が相次いでもたらされ、悲しいひと月でした。つらいので直視しないようにしていましたが、変わらないように見える歌舞伎の世界も日々めまぐるしく変わっていることを認識させられます。命あればいつか別れなければならないのは必然であるにしても、流れの速さにうろたえてしまいます。

 

かつて自分が見た亡き名優たちの歌舞伎こそ素晴らしかったと新規ファンに主張したい人々をやゆする「天保老人」「團菊爺」という言葉がありますね。当世流にいうと「懐古厨」というものでしょうか。

あまり良い言葉ではないと思っていましたが、彼らは心からそう感じていたのだろうと思いますし、時代が移り変わる寂しさ、つらさもあったのだろうと今は思います。映像もなく、自分たちの言葉で伝えるしかないのですものね。命の上にしかない芸の儚さと、それに魅了されてしまう喜びと痛みはいつの世も変わりませんね。

初めての船乗り込み

昨日29日は、大阪松竹座の船乗り込みyoutube生配信を拝見いたしました!

いつも開催が平日ということもあり生で拝見したことがなかったので、船がどんぶらこどんぶらこと運航するようすを生では決して見られないアングルからつぶさに拝見できて興奮いたしました。船首に身一つでしゃがんでいる方がいらしたりして、楽しげに見えてもみなさま命がけなのだなとプロフェッショナルの仕事に感服いたしました。

 

日本列島は猛烈な暑さであり、航路が想像以上に長く、ご高齢の方もいらしたので熱中症がとても心配でしたが、式典ではみなさまお元気そうなご様子で安心いたしました。もしも仁左衛門さんがご乗船でしたら、心配で心配で気が気ではなかっただろうなと思います。もちろんお姿を拝見できず寂しい思いはありますが少し安心でした。

 

しかし仁左衛門さんのいらっしゃらない船でお名前が読み上げられるのを聞いたり、皆さまが口々に仁左衛門さんへの思いを語られたりするのを拝見していたら、ご不在を色濃く感じてしまったと申しますか、何とも言えず泣きそうに寂しかったです。

この夏は暑くなりそうですから、今はとにかくご無理なさらず、できることならごゆっくりお休みいただき、涼しくなってから元気で素敵なお姿を拝見したいものです。今月ご出演になってほしいという思いからではなく、一日も早いご回復を心からお祈りしております。

 

さて、来月はどんな芝居が待っているのでしょうか…

仁左衛門さんがお出ましになるかどうかに関わらず、来月は大好きな大阪へ参ります。

それを楽しみに今夜は休みたいと思います。おやすみなさいませ。

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