本日、大阪松竹座に参りまして、七月大歌舞伎の千穐楽を拝見してまいりました!
夏の日差しの下の松竹座は格別の美しさでした。
仁左衛門さんののぼりも。風ではためいてしまいお名前をバッチリ写すのが難しく、激連写しました。
久方ぶりの仁左衛門さんに狂喜
時間の都合上、残念ながら夜の部の「堀川波の鼓」のみで劇場を後にすることとなってしまいました。
しかし劇場公演が相次いで中止となっている昨今、一幕だけでも拝見でき、ご復帰になった仁左衛門さんのお姿を一目見ることができたのはこの上ない幸せです。
チケットを購入し、遠征の段取りをして、予定通り舞台を見られるのは当たり前ではないのだとつくづく思います。
久方ぶりの仁左衛門さんのお姿…たまらなかったです。。座席に居ながらにして心がぴゅーんと空高く飛んで行ってしまいそうなほどに興奮、拍手しようと思うより先に高らかに拍手をしている自分がいました。
仁左衛門さんのお姿を拝見するのは4月末の三味線の会以来でしたので、実に三ヶ月ぶりです。こんなに拝見しないのはコロナの休演以来で、お元気で舞台に立たれているありがたみをひしひしと感じました。
お加減はその後いかがなのかわかりませんが、少なくとも客席からはお元気そうに見えました!お声も出ていましたし、お顔もそれほどひどくおやつれのようすでもなく(むしろ少し若返られたような)、足取りもしっかりされていたようで、安堵いたしました。どうかこの先もご無理なさらず長くご活躍いただけますように。
「堀川波の鼓」は、不在の夫恋しさに酒に溺れる妻が、ひょんなことから身近な男性と不倫関係を結んでしまうという、現代にもありそうな物語です。
待ち侘びた夫に全てを知られ、「女」とだけ呼ばれる妻のつらさ。久しぶりに会った妻と家族たちの違和感、それら全てがパズルのピースのように合わさり、妻の不倫の確信へと変わっていく夫の絶望感。双方の心情が胸に迫り、なんともいえぬ味わいのある芝居であります。
幕切れ、お種の遺体に羽織をかけてやる仁左衛門さんの姿から漂う悲壮に思わず涙しました。顔見世、松竹座と関西での上演が続いていますが、ぜひ東京でもかけていただきたいところです。
そしてもう一つ。
今回せっかく大阪へ参じましたので、孝太郎さんがブログに書かれていた内容や友人のアドバイスを参考に、秀太郎さんのお墓参りをしてきました。お寺の方も快く受け入れてくださり、ありがたかったです。
秀太郎さんのお墓は大阪の中心部ながら沢山のお寺が立ち並ぶ静かな土地にあり、ここで眠っておられるのかと思うと気持ちが安らぎました。
この世とあの世を隔てる石一つを前にしますと、なんだかようやくお会いできたような不思議な気持ちになり、数々の舞台の思い出がいきいきと蘇って、感謝の思いが湧いてきました。ご健在の頃に思いを伝えられたら、どんなによかったでしょうか。
ずっと信じられず、もうお姿を拝見できないことを受け入れられない思いが続いていましたが、お参りを通じて現実を受け止めるとともに、気持ちに一つの区切りがついたように思います。
後進の育成に熱心に取り組まれていた秀太郎さんですから、今後の上方歌舞伎をお守りいただけると信じています。今後もたくさんの思い出を胸に、一つ一つの舞台を大切に拝見いたします。ありがとうございました。