歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

歌舞伎座 八月納涼歌舞伎 第一部「新選組」「闇梅百物語」を見てきました! 2022年8月

いよいよお盆休みが始まったようですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。猛暑に加え、大雨や台風などの心配ごとが次々に押し寄せていますね。お出かけや帰省の際は何卒お気をつけくださいませ。

このすえひろの住む地域のお盆は7月に終わっておりまして、日常と同様に過ごしております。コロナの前は、この時期になると街から少し人が減り、往来もやや静かになっていたと記憶しています。みなさまそれぞれ故郷へ帰られたのだろうかとあたたかな気持ちになっていました。今年はそんなムードが少し戻るのではないかなと楽しみにしております。

さて先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして八月納涼歌舞伎の第一部を拝見してまいりました!備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。

第一部の新作について事前情報を避けたい方は、この先をお読みにならないよう何卒お気をつけくださいませ。

この先ネタバレ注意

第一部は「新選組」「闇梅百物語」という狂言立て。

新選組」は、手塚治虫の同名漫画を原作とした新作歌舞伎です。歌之助さんが主人公の深草丘十郎を、福之助さんがその親友の鎌切大作をお勤めになっています。大抜擢の舞台ですね!お二人とも拝見するたびにぐいぐいと存在感を増していて、このひと月でますます進化なさるのではないかと楽しみになりました。

 

漫画が原作ということでとても展開が早く、原作未読ということもあり、役者さんのお芝居を味わうことよりも筋を追うことに必死になってしまった面も否めません。しかしながら、お話全体のテーマはしっかりと貫かれており、後半の見せ場にたっぷり時間がとられていて、幕切れには感動がありました。

さすがは漫画の神様、そもそもの原作の構成力が素晴らしく強いのだろうなと思います。物語の持つ力を感じました。そこに生の役者さんのお芝居が乗った状態を、もう一度拝見したいです。今回限りといわず、今後ぜひまた上演していただきたいなと願っております。

 

また手塚治虫作品初の歌舞伎化ということで、愛にあふれた工夫が大道具や小道具、衣装、音楽などの随所に凝らされていて、大変楽しく拝見いたしました!

特に大道具には、手塚治虫タッチの独特の曲線が採用されていて、いたく感動いたしました。松の木も川の水面も、すべてが手塚治虫の世界でした…。原作を使って出力されたものなのか、職人さんが手で描かれているのかわかりませんが、愛を感じました。

 

続く「闇梅百物語」は、夏だ妖怪大集合というような愉快な舞踊です。今回は勘九郎さん、七之助さんご兄弟を中心とした配役で、勘太郎さん長三郎さんもご活躍でした。特に勘太郎さんが大きくなられて驚きました!早くも身長がお父様に近づいていますね。

勘九郎さんの舞踊が好きですので、スタンスタンと床を鳴らす軽やかな音が気持ちよかったです。秋の平成中村座はどんな舞踊が拝見できるでしょうか。今から楽しみです。

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.