台風が通過中ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。被害が少なく済むことを祈っています。何卒お気をつけくださいませ。
このすえひろはといえば、地元墨田区のトリフォニーホールにて「能・義太夫・歌舞伎 謡かたり『隅田川』」を拝見してまいりました!能から小鼓の大倉源次郎さん、義太夫から豊竹咲太夫、歌舞伎から菊之助さんが参加され、ご当地で『隅田川』を披露するという趣向の公演です。台風のなか無事開催されてありがたい限りでした。
先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして八月納涼歌舞伎の第二部を拝見してまいりました!備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。
ユーモラスな島抜けのシーン
第二部は「安政奇聞佃夜嵐」「澤瀉十種の内 浮世風呂」という狂言立て。
「安政奇聞佃夜嵐」は、明治時代の脱獄事件を基にした演目。十二代目守田勘弥が古河新水の名で手掛けたもので、物語の舞台を安政期に移して描かれています。なかなか上演されない演目ですので拝見でき幸運でした。
今回は主人公の青木貞次郎を幸四郎さん、ともに脱獄を図る神谷玄蔵を勘九郎さんがお勤めになっています。神谷はとにかく悪い奴、もはやサイコパスの域で、勘九郎さんのなんの悪気もなさそうな感じが恐ろしかったです。
とにかく展開の早い物語で、場面転換の多い怒涛の演目でしたが、彌十郎さんの義兵衛の登場によってお話が落ち着き、全体が引き締まって感じられたように思います。若手の方々が集まる公演では、脇を固めるべテランの方々が一層光り輝いて感じられますね。
浪布を使って海に入っていくかのように見せる島抜けの場面がおもしろかったのでもっと拝見したかったところです。幸四郎さんの浮かび方が海さながらで見事でした。3階から拝見していたので、浪布のたわみを下から支えているらしいTシャツ姿の大道具の方がチラリと見えて、大変ワクワクいたしました。
「澤瀉十種の内 浮世風呂」は、澤瀉屋ゆかりの舞踊。朝のお風呂屋さんで忙しく働く三助をなめくじの女性が口説くというもので、どうやったらこの設定が思いつくのかと思う奇想天外な内容です。
今回は三助を猿之助さんが、なめくじを團子さんがお勤めでした。明け方の光を演出する冒頭の照明が素晴らしく、猿之助さんのシルエットがとても美しかったです。しなやかな筋肉と隅々まで張り巡らされた神経に惚れ惚れいたしました。そして第三部でも思いましたが團子さんは女形も素敵で驚きました!今後がますます楽しみです。