歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

【来たる14日】歌舞伎座・芸術祭十月大歌舞伎 チケット一般発売!

来たる14日(水)は10月の歌舞伎座公演

芸術祭十月大歌舞伎のチケット一般発売日です!

例年10月に行われている文化庁芸術祭への参加公演です。今回は講談界とのコラボレーションもあり、話題を呼びそうです!いよいよ芝居に忙しい秋冬が本格的にやってきましたね。本当に一年が早いです。芝居を追う生活をしていますと、秋が来たらすでに年末に片足を突っ込んでいるというような体感速度で焦ります。今回も無事に上演されますよう祈っております。

公演の詳細

www.kabuki-bito.jp

一般発売日

9月14日(水)10:00~

【チケットWeb松竹】

会期・上演時間

2022年10月4日(火)~27日(木)

第一部 11:00~
第二部 14:30~
第三部 18:15~

休演日:11日(火)、19日(水)

チケット料金

一等席        16,000円
二等席   12,000円
3階A席      5,500円
3階B席      3,500円
1階桟敷席  17,000円

八月納涼歌舞伎から花道の横以外のすべての座席が販売されています!にぎわう劇場が戻りうれしい限りです。

歌舞伎座の感染対策

歌舞伎座では、かなり徹底した感染対策が取られています。これまでお馴染みであった幕間の食事や大向こうは今も禁止で、幕見席も再開されていません。しかし「めでたい焼き」の予約販売や、3階席の花篭食堂は再開しています。

特に重要と思われる対策は下記の2点です。

①ロビーや客席では会話を控えることが推奨されています。

②整理退場への協力が求められています。

会話を控えるのはもちろん、整理退場も出入口での密集を避けるための大切な施策ですので、ご自身の身を守るためにもぜひご注意ください。

歌舞伎座の感染対策はこれまで非常に厳格に守られ、我々観客の健康をしっかりと守っていただいてきましたから、今後も提示のとおりに取り組んでまいりましょう。

 

また、10月から客席内・ロビーでの食事(黙食)が復活するそうです!!!

これはとても大きな一歩ですね!歌舞伎座地下のお弁当屋さんなどもにぎわいが戻ることと思います。客席でめでたい焼きをいただくこともできます。本当にうれしいです。芝居と食は日本の芝居の大切な文化ですので、いつまでも残ってほしいです。

おすすめのポイント

十月の歌舞伎座は、芸術祭と冠した公演。文化庁芸術祭参加ということで、格式と革新を併せ持った狂言立てです。例年に比べて配役が若く、新時代の訪れを感じます。

名作演目が並んでおり、初めての方にもぜひにとお勧めしたい公演です。各部の内容をごく簡単にご紹介いたします。

 

第一部は「鬼揃紅葉狩」。三代猿之助四十八撰に数えられている澤瀉屋ゆかりの舞踊劇を、猿之助さんがお勤めになります。信濃戸隠山に伝わる鬼女伝説が題材で、舞台一面の紅葉が目に鮮やかな演目です。

続く「荒川十太夫」は、同名の講談の名作を題材とした新作歌舞伎です。歌舞伎でもおなじみの忠臣蔵の世界におけるアナザーストーリーで、今回は松緑さんが主役の荒川十太夫をお勤めになります。

 

第二部は「祇園恋づくし」。気の短い江戸ッ子がやむを得ず京都に滞在することになり、文化の違いにイライラしながらも次第に心を通わせてゆく…という愉快な内容で、7月の大阪松竹座でも上演されました。今回も鴈治郎さんと幸四郎さんが二役早替わりでお勤めになります。

続く「釣女」は、ユーモラスな舞踊劇です。しかしながら女性の容姿の優劣を比べて笑うという前時代的なユーモアでもありますので、苦手な方は何卒ご注意ください。いずれこういった演目が上演されなくなってしまうのではないかと危惧しています。いわゆる「醜女」をお勤めになる役者さんの愛らしさは素晴らしい芸ですので、ぜひ上演が続いてほしいと願っています。

第二部はどちらも気楽に楽しめる演目であり、内容も理解しやすいです。昔の言葉や堅苦しさに苦手意識をお持ちの方にはおすすめの部です。

 

第三部は「源氏物語」。実に30年近く上演のなかった演目で、このすえひろも初めて拝見します。はかなげな世界観が特徴の清元節に載せた幻想的な舞台なのではないかと想像しています。梅玉さんの光源氏はさぞや麗しいことでしょう。とても楽しみです。

続く「盲長屋梅加賀鳶」は、幕末の名作者河竹黙阿弥の名作です。江戸時代のスター職業であった鳶と町火消が喧嘩になり一触即発というところ、按摩の男がある悪だくみを思いついて云々…という江戸の市井のドラマです。

 

どの部もおすすめしたい内容ですが、初めてご覧になることを前提として考えるならば第一部でしょうか…。「紅葉狩」は華々しくショー的要素の強い演目であり、猿之助さんは舞踊の名手ですので、初めての方でも飽きることなく目くるめく舞台を楽しめるのではないかと思います!

 

余談ですが文化庁芸術祭は今年度をもって贈賞の制度が廃止となります。最後の賞はどの公演になるでしょうか。我々観客にはあまり影響のない賞ではありますけれども、歌舞伎界の受賞があるといいなと期待しています。

また11月から團十郎襲名披露公演が始まることもあり、もしかしたらこの10月で三部制はひとまず終了になるのではないかなと予想しています。すっかり三部制のペースになっているのでぼちぼち慣らしていかねばなりませんね。

襲名披露、お正月公演が終わった来年2月あたり、何気なくチケット値上げが行われるのではないかというのも予想しています。コロナ禍の厳しい状況が続くなか毎月の上演を続けてきてくださったことへの感謝から、値上げで少しでも歌舞伎界が潤いますようにと願っています。精出して働きます!

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.