ただいま国立劇場で上演中の令和4年10月歌舞伎公演『通し狂言 義経千本桜』
名作「義経千本桜」の主役 新中納言知盛・いがみの権太・狐忠信の3役を、菊之助さんがお一人でお勤めになるという記念すべき公演です。2020年3月に小劇場での上演が予定されながらもすべて中止となりましたが、大劇場でようやく上演されています。
Aプロにて上演されている「義経千本桜 渡海屋・大物浦」は、数ある歌舞伎の名場面の中でももっとも壮絶といえる幕切れが大変有名です。
以前こちらのブログで簡単にお話したものがございますので、ここにひとつまとめてみます。芝居見物など何らかのお役に立つことができれば幸いです。
義経千本桜 渡海屋・大物浦とは
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)は、「壇ノ浦で義経に滅ぼされた平家のさむらい達が実は生きていて、兄頼朝に追われる身となった義経への復讐を誓う(が、叶わない)」という内容を、壮大な悲劇、親子の情愛などなど様々なテイストの名場面で描いていく演目です。
そのうち渡海屋・大物浦(とかいや・だいもつのうら)は、壇ノ浦に滅んだ平家の運命を感じさせる大海原を舞台としています。簡単な内容としては、
①幼い安徳天皇を守りながら廻船問屋の主人に身をやつして生きてきた平知盛が、ついに義経を襲うチャンスを得るのだが、
②憎き義経の命を奪うことはできず敗れ、
③安徳天皇は義経に託されることになり、
④入水して果てる
というもの。血みどろになった知盛が、碇を巻き付けて海へと飛び込んでいく入水のシーンは壮絶かつ美しく、あまりにも悲しい名場面です。
義経千本桜のおさらい
まずは義経千本桜の全体像について簡単にご紹介いたします。別のプログラムもご覧になる方は、全体でいうとどのあたりのお話なのか把握しておくとよりおもしろいかもしれません。もちろん、単独でご覧になっても充分おもしろいお話です!
あらすじ
舞台の上で起こることとその事情などについてお話したのがこちらの回です。
そもそもの前提からお話しておりますので長くなってしまっています。お芝居をご覧になった後でもお役に立てるかと思いますので、よろしければご一読くださいませ。
主人公・渡海屋銀平について
主人公渡海屋銀平 実は新中納言知盛について衣装や芸談などの話題を交えつつお話いたしました。かなり古いお話ですので記載されているのは当時の名跡です。何卒ご了承くださいませ。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とのゆかり
義経千本桜は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも描かれていた源平合戦ゆかりの物語。壇ノ浦の戦いのシーンはドラマ本編にも登場していました。それにちなみまして、つらつらと演目のご紹介をしたのがこちらの回です。
Aプロで上演されている「鳥居前」についても、鎌倉殿の13人のゆかりがありますのでお話したのがこちらの回です。鎌倉殿と歌舞伎では義経像はかなり違い、それもまたおもしろいですね。