ただいま歌舞伎座で上演中の
市川海老蔵改め
十三代目 市川團十郎白猿襲名披露
八代目 市川新之助初舞台
十一月吉例顔見世大歌舞伎
2020年5月に予定されていた襲名披露が、2年半の延期を経てようやく行われています。市川團十郎といえば江戸歌舞伎を代表する大名跡。新たな時代の到来を感じさせてくださる華々しい公演です。
第一部「勧進帳」は、成田屋とゆかりの深い演目ゆえ襲名披露狂言に選ばれています。團十郎さんの弁慶に幸四郎さんの富樫、猿之助さんの義経という、歌舞伎界の世代交代を感じさせる新鮮な配役です。これを機に様々な家の方とのご共演が増えることを祈ります。皆さんが今後数十年をかけて芸を磨いてゆかれるようすを大切に拝見したいと思います。
「勧進帳」については過去にお話したものがいくつもありますので、お役に立ちそうなものを一つまとめたいと思います。何らかのお役に立てれば幸いです。
あまりに古いもので内容が大変拙くお恥ずかしいのですが、何卒ご容赦願います。大変重要な演目ですので、この機会に改めてお話し直そうと思います。そちらもよろしくお願いいたします。
歌舞伎十八番の内 勧進帳とは
歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)は、能の「安宅」を題材とした演目。都を追われた源義経の逃避行を描きます。主君義経を守らねばならない忠臣・弁慶、極限状態のなかで発揮される知略と豪胆さが見ものです。能舞台を模した松羽目と呼ばれるシンプルな大道具を使い、長唄と呼ばれる華やかな音楽とともに、大変スリリングな物語が展開していきます。
基本的な事項を本当にざっくりとお話しますと、
状況:都を追われた源義経が家来の武蔵坊弁慶たちとともに山伏一行に変装して逃げている。
出来事:関守の富樫左衛門が守る安宅の関に差し掛かるが、正体を見破られる。
結末:弁慶は持っていた巻物を「勧進帳」として読み上げるなどして義経を守り抜き、一行は無事に関を越える
というものであります。
成田屋とのゆかり
まずは、今回の襲名披露狂言として選ばれている由縁についてのお話を。
ざっくりとしたあらすじ
「勧進帳」のざっくりとしたあらすじをご紹介いたします。舞台の上には情景にまつわるヒントがほとんどありませんので、ざっと内容をおさらいしておくとおすすめです。
富樫左衛門のモデル
どちらの演目においても重要人物である関守・富樫左衛門の、モデル説についてごく簡単にお話したのがこちらの回です。
鎌倉殿の13人と勧進帳
演目の題材となっている源義経のはかなき運命は、ただいま放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも描かれていました。放送を拝見して思ったことなどをつらつらと述べたのがこちらの回です。放送をご覧になった方にはお楽しみいただけるかもしれません。ぜひご一読ください。