歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【来たる14日】歌舞伎座・十三代目 市川團十郎白猿襲名披露 八代目 市川新之助初舞台 十二月大歌舞伎 チケット一般発売!

来たる14日(月)は12月の歌舞伎座公演

市川海老蔵改め
十三代目 市川團十郎白猿襲名披露
八代目 市川新之助初舞台
十二月大歌舞伎のチケット一般発売日です!

当初2020年5月から予定されていた襲名披露興行。新型コロナにより延期されてしまいましたが、この11月から二カ月連続の襲名披露興行としてにぎにぎしく開催されています!

今回の公演は、通常の公演よりも日程がやや短いです。様々な報道がされていますが、昨今の厳しい公演状況を受けての個人的な感触としては、充分チケット難の部類に入ると感じています。チケットはお早目の確保をおすすめいたします!

公演の詳細 

www.kabuki-bito.jp

一般発売日

11月14日(月)10:00~

【チケットWeb松竹】

会期・上演時間

2022年12月5日(月)~26日(月)

昼の部 11:00~
夜の部 16:00~
休演日:12日(月)、19日(月)
貸切:15日(木)昼の部、11日(日)夜の部

☆夜の部「助六由縁江戸桜」で玉三郎さんが揚巻をお勤めになる日程は10日~15日。
貸切を除いた唯一の土日公演である10日(土)は現時点で厳しい状況です。

チケット料金

一等席        23,000円
二等席   18,000円
3階A席      8,000円
3階B席      6,000円
1階桟敷席  25,000円

襲名披露かつ二部制ということで、チケット代が値上がりしています。結構な値上がり幅がありますのでご注意くださいませ。

歌舞伎座の感染対策

歌舞伎座ではかなり徹底した感染対策が取られています。これまでお馴染みであった大向こうは今も禁止で、幕見席も再開されていません。しかし幕間の客席やロビーでのお食事が黙食にて解禁され、大向こうも復活しました!芝居見物の楽しみは、かなり元の状態に近づいています。

歌舞伎座の感染対策はこれまで非常に厳格に守られ、我々観客の健康をしっかりと守っていただいてきましたから、今後も提示のとおりに取り組んでまいりましょう。

おすすめのポイント

十二月の歌舞伎座は十一月に引き続き、十三代目市川團十郎白猿襲名披露・八代目市川新之助初舞台

長らく親しまれてきた海老蔵さんと勸玄さんが、歌舞伎界の大名跡を背負われる記念の公演です。市川團十郎の名跡は宗家と呼ばれるように、江戸歌舞伎における最大のもの、歌舞伎のシンボルといえるものです。

歌舞伎と聞くと難しいイメージをお持ちの方もおいでかと思いますが、この襲名披露はとにかく底抜けに華やかなお祭りといった内容です。歌舞伎十八番の人気演目ばかりが並んでいますし、独特の祝祭感が感じられるはずですので、初めての方にぜひにとお勧めしたい公演です。各部の内容をごく簡単にご紹介いたします。

 

昼の部は、「鞘當」からの幕開け。華の吉原仲之町にて、行き会う男たちの間で刀の鞘が当たるトラブルが発生し、互いにカッコいい名台詞を飛ばしあうというワンシーンを描く演目です。物語の内容というよりも、スタイルの美しさを楽しむものです。今回は松緑さんが敵役の不破伴左衛門、幸四郎さんが二枚目の名古屋山三をお勤めになります!

続く「京鹿子娘二人道成寺」は、歌舞伎舞踊屈指の名作として知られる演目。東京のお土産などでもよくイラスト化されているものです。桜が爛漫と咲く紀州の道成寺の鐘供養を舞台としたとにかく美しく豪華な舞踊であり、女形をお勤めになる役者さんにとっての特別な大曲です。

今回は菊之助さんと勘九郎さんがお勤めになります。お二人とも舞踊の名手であり、特に基本的には立役をお勤めになっている勘九郎さんの道成寺は貴重ですので必見です!さらに幕切れには、スーパーヒーロー「押し戻し」として團十郎さんが登場します。くまどりを施したド派手な衣装で登場しますので、歌舞伎らしさを存分に体感できるはずです。

そして「毛抜」は、市川團十郎家の芸・歌舞伎十八番のひとつに数えられる名作です。粂寺弾正という愉快なキャラクターが、お姫様の身に起こったトラブルをまさかの方法で解決するという演目。独特の脱力感と申しますか、大らかなムードが漂う演目です。

十二代の團十郎さんの明るい印象が強い粂寺弾正を、今回はなんと新之助さんがお勤めになります!9歳でお勤めになるのは前代未聞であり、このすえひろも配役を見たときには大変驚きました。今月の「外郎売」に続き、こちらも後年思い出深く語られるものになるだろうと思います。

 

夜の部「口上」は、襲名される團十郎さんと新之助さんを中心に、一門の方々が並んで襲名披露の挨拶を述べていくというもの。歌舞伎役者の方々が裃姿でズラリと並んでいる様子、ドキュメンタリー番組やニュースなどでご覧になったことのある方もおいでではないでしょうか。記念になりますのでぜひにとおすすめいたします。

続く「團十郎娘」は、團十郎さんの御令嬢ぼたんさんによる舞踊です。同名の舞踊もあるのですが、配役と役名を見るにどうやらこれは「近江のお兼」と呼ばれる舞踊だと思われます。長い晒の布を手に、華麗に翻しながら踊るさまが眼目です。ぼたんさんも大変芸達者な方ですので将来が楽しみです!

そして「助六由縁江戸桜」。江戸一番のモテ男・花川戸助六と、恋人の傾城揚巻、そして揚巻に横恋慕する髭の意休が、豪華絢爛な吉原で一堂に会して云々という演目。起承転結のある濃いドラマが展開するわけではなく、とにかく江戸の美学を見せつけるような趣向です。裏設定などはありますが、ストーリーについていかねばならないものではありませんのでご安心ください。個性豊かな登場人物たちがかわるがわる現れる、めくるめく一幕です。

なんと今回は助六の恋人役の揚巻を、玉三郎さんがお勤めになるという衝撃の配役。まさしく当代最高峰といえるものと思います。玉三郎さんが揚巻としてご出演の日は5日~15日と限られていますのでご注意ください。

 

どちらの部もおすすめなので選び難いですが、今月も先月と同様、初めての方に特におすすめなのは夜の部かなと思います。助六は大変有名な演目の割に、それほど上演頻度が高くありません。出演者が大勢必要であり、特別な準備もありますので、今後はさらに上演頻度が低くなってしまうのではないかなと危ぶまれます。ぜひこの機会におすすめいたします。

 

とはいえ、昼の部夜の部どちらをお選びになっても、多くの方が「歌舞伎」と聞いてイメージされるような舞台を必ずご覧になることができます。すべて團十郎家・成田屋ゆかりの演目「歌舞伎十八番」であるからで、それほどまでに團十郎の名跡は歌舞伎を象徴しているわけですね。

團十郎さんにはどうかこの襲名を機に、様々な先輩のもとで鍛錬を積まれ、天性の素質を最大限に輝かせる素晴らしい歌舞伎役者として君臨していただきたいと切に願っております。

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