本日28日は歌舞伎座で上演されていた十三代目 市川團十郎白猿襲名披露 八代目 市川新之助初舞台 吉例顔見世大歌舞伎の千穐楽でしたね！おめでとうございます！
※写真は先日のものです。
新團十郎の誕生
新型コロナウイルスの感染が再び広がっているなか、團十郎襲名という一大イベントの前半ひと月の日程が一日も中止となることなく、無事に千穐楽の幕が閉じたことを本当に喜ばしく思います！大きな歴史の転換点となる公演ですから幸先の良さを感じます。来月も無事でありますように。
今月の歌舞伎座はいつ出かけてもにぎにぎしく、客席も華やかで、ハレの場の空気が感じられてとてもうれしかったです。コロナ禍以降、この素晴らしい舞台をもっとたくさんの方と目撃したかったと寂しい気持ちになる日もありましたので、なんだか夢のようでした。この活気がいつまでも続きますようにと願わずにはいられません。
本日の千穐楽は拝見できませんでしたが、このすえひろも週末に歌舞伎座へ出かけまして、襲名披露興行の前半ひと月を見納めてまいりました。
いよいよ玉三郎さんが「口上」「助六由縁江戸桜」にお出ましになったことで、襲名披露興行にますますの重みと華やかさが加わったように感じます。来月も楽しみです。
口上で玉三郎さんが「たくさんの舞台をご一緒してきた」としみじみおっしゃって、私の頭の中にも、玉三郎さんの相手役をお勤めになっていた若かりし頃のシャープな海老蔵さんの思い出がいきいきとよみがえってきました。
思えば初日近くの「口上」は、大幹部の皆様がもう少し堅いムードであったと記憶しています。日を追うごとに、新之助さんへの絶賛だけではなく、團十郎さんを頼もしく思い、期待を込めて励ますような言葉が徐々に増えていったように感じました。
お二人のことを文字通り生まれる前からご存知の皆さま。この大舞台に列座され、計り知れぬ思いがあったことと想像します。最初は「くわんぺらは嫌」とおっしゃっていた仁左衛門さんが、最終的に「十四代の襲名披露に…」とおっしゃったのにはご冗談とは知りながらもグッときました。是非にと願うばかりです。
続く「助六由縁江戸桜」も素晴らしかったです…。今月は白玉としてご出演になった玉三郎さん。その初々しさには驚くばかりでした！菊之助さんの揚巻を立て、二番手の花魁としか見えない居住まいです。前半日程でお勤めになっていた梅枝さんと変わらない年ごろ、ややもすると、それよりもお若いようにも見えました。いったい何がどうなっているのですか…。芸の力に驚き入るばかりです。
仁左衛門さんのくわんぺらと新之助さんの福山かつぎのやりとりも、もうこのお小さい姿で拝見することはできないであろうなと思うと、妙にじんわり泣けてきて困りました。十四代の襲名披露で、思い出して泣きたいです。
そして團十郎さんの助六は、日を追うごとに余裕が加わり、歌舞伎座の空間いっぱいに大きく広がっていったように思います。もう花川戸助六そのものと申しますか。華やかでヤンチャなのですが、十二代とは違いほんのりと陰りもあって、それがただならぬ色気を醸しているように感じました。鴈治郎さんの通人がなんて良い男だろうと感心するのがもう本当にその通りで。このような舞台は他のどなたでも味わうことができないのではないでしょうか。
とにもかくにも、長い人生の中で歌舞伎のファンになることができ、歌舞伎への愛が頂点にある時に團十郎襲名という場面に立ち会えたことが、私は本当にうれしいです。
今回の襲名に関し、様々な意見があろうこととは思います。しかしながら、私としてはやはり、團十郎さんの舞台でしか味わえない歌舞伎の味が確実にあると再認識した次第です。
そしてそれは、歌舞伎座という大きな空間で、他家の方々と共演されてこそ輝き、磨かれていくものなのであろうと感じました。この襲名時点で完成形であるべきと考えるのではなくて、それこそ数十年単位の長い目で拝見していきたいと思っています。
新たな團十郎さんが、このまま様々なおうちの役者さんたちとともにまっすぐ芸の道を進まれ、さらに大きな花を咲かせてくださることを祈ります。そして、今月途中より体調不良で休演なさっている白鸚さんのお元気なお姿を一日も早く拝見できますように。
