歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

【2023年1月 新春浅草歌舞伎で上演中!】やさしい双蝶々曲輪日記 引窓 まとめ

ただいま浅草公会堂で上演中の新春浅草歌舞伎

新春浅草歌舞伎は、若手花形役者の方々によるお正月恒例の公演。1980年から続く若手登竜門として地域の方々にも愛されています。新型コロナウイルスの感染拡大や補修工事などの影響により、実に三年ぶりとなる開催です!

今回も松也さんを中心とする20~30代の方々が、古典演目の大役に挑まれています。近ごろは若手の方々が新作歌舞伎で華々しくご活躍になる機会も増えていますが、古典への挑戦はそれらとはまた違った味わいがあり、歌舞伎役者の方々の青春を垣間見るような熱気みなぎる公演です。

第一部で上演されている「双蝶々曲輪日記 引窓」については、過去に上演された際にいくつかお話したものがあります。内容の拙い古い記事もありお恥ずかしいのですが、何らかのお役に立てればうれしく思います。

そもそも双蝶々曲輪日記とは

双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)は、1749年に大坂竹本座にて人形浄瑠璃として初演されたお芝居。江戸時代のスター職業のひとつである、おすもうさんが主役であります。

物語に登場する二人のおすもうさん「濡髪五郎」と「放駒吉」の名前からふたつの長の字をとって、「双蝶々(ふたつちょうちょう)」とついています。

物語そのものは全部で九段の長いものですが、今日では人気の場面「角力場」「引窓」がそれぞれ単独で上演されることが多いです。今回の上演は物語の後半にあたる「引窓」です。

「引窓」のあらすじ

引窓」はスター力士濡髪長五郎が、恩ある御贔屓を思うがゆえの運命のいたずらから殺人犯になってしまい、逃亡中に母親のもとに立ち寄ったところで起こるドラマです。家庭の事情は少し複雑ながら、登場人物それぞれの優しさが交錯する、胸に染み入るようなホームドラマです。

ざっくりとあらすじをご紹介したのがこちらの回です。上演のタイミングや諸々の事情により内容が前後したり変更されたりする場合がありますのでご了承ください。

www.suehiroya-suehiro.com

www.suehiroya-suehiro.com

www.suehiroya-suehiro.com

www.suehiroya-suehiro.com

www.suehiroya-suehiro.com

放生会のいまむかし

引窓」の場面は放生会の夜という状況設定が非常に重要です。放生会と言っても現代人にとってはあまり馴染みがないかもしれません。江戸の人々にとってはどういったイベントだったのかをご紹介したのがこちらの回です。

www.suehiroya-suehiro.com

「角力場」のざっくりとしたあらすじ

双蝶々曲輪日記」には「引窓」の前日譚として「角力場」の場面があります。どちらも見ておかないとお話がわからないということはありませんのでご安心ください。

しかし「角力場」の内容を把握しておきますと、濡髪長五郎の人物像がよりくっきりとしてわかりやすくなりますので、あらすじをお話した回をご紹介いたします。一言で申せば「プロ力士の濡髪長五郎が、御贔屓への義理のため、アマチュアの放駒長吉にわざと負ける」という場面です。

www.suehiroya-suehiro.com

www.suehiroya-suehiro.com

www.suehiroya-suehiro.com

www.suehiroya-suehiro.com

なぜ濡髪は殺人を犯してしまったのか?

現行の上演では、「角力場」と「引窓」の間に当たる「難波裏」の上演機会が少なく、肝心の「なぜ濡髪は殺人を犯したのか」という事情が謎めいてしまっています。

濡髪が殺人に至った顛末と、実家を訪ねることにした事情、それらがよくわかる「難波裏」の場面について簡単ご紹介したのがこちらの回です。ご一読いただきますと今回の引窓の場面の味わいがより深まるかと思います。

www.suehiroya-suehiro.com

江戸時代の窓事情 江戸と上方

引窓」の場面の重要キーワードはなんといっても窓です。内容とは全く関係ありませんが、江戸時代の引窓について江戸と京大坂の事情を調べてみたのがこちらの回です。

www.suehiroya-suehiro.com

「引窓」ゆかりの地

演目のゆかりの地をストリートビューで巡ってみたのがこちらの回です。

フィクションであるにもかかわらず、「引窓南邸跡」という石碑が現実世界に設置されているというおもしろい現象が起こっています。昔の人も聖地巡礼的な楽しみ方をしていたのかなとおもしろく思います。

www.suehiroya-suehiro.com

公演の詳細

www.kabuki-bito.jp

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.