歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

国立劇場 令和5年 初春歌舞伎公演『通し狂言 遠山桜天保日記-歌舞伎の恩人・遠山の金さん-』を見てきました!

寒い日が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

このすえひろはといえば、朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」を毎日ハラハラしながら視聴しております。近ごろはヒロインの舞ちゃんがリーマンショックのあおりの中で工場経営者のお父ちゃんを亡くし、心情的にも経済的にも大変厳しい展開が続いていますね。自分自身も同じような時代、状況、年齢で父を亡くしたため、なんだか他人事と思えなくなってしまい、日々ずっしりとした気持ちで拝見しています。

しかし10年も経てば状況は必ず変わります。私もおかげさまで今は楽しく暮らしております。記憶の端へしまっていた日々でしたが、ドラマのおかげで、あの頃は同じような大変さを味わった方が大勢いたことだろうと心を寄せることができました。舞ちゃんはこの苦難をどう乗り越えるのか、心して見守りたいと思います。

さて、先日のお話ですが、国立劇場へ出かけまして令和5年 初春歌舞伎公演『通し狂言 遠山桜天保日記-歌舞伎の恩人・遠山の金さん-』を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためたいと思います。

初代国立劇場 最後のお正月

お正月の国立劇場は『通し狂言 遠山桜天保日記-歌舞伎の恩人・遠山の金さん-』

運命に翻弄された悪党3人組に対する遠山の金さんの名裁きといった内容でした。残念ながら、拝見した日はちょうど時蔵さんと丑之助さんと小川大晴さんが休演なさっていて、一部の演出が変更されていたようです。そのため完全版は拝見できておりませんが、初見でもわかりやすく楽しむことができました。

悪党をお勤めになったのは菊之助さん、松緑さん、彦三郎さん。そして遠山の金さんは菊五郎さんです。とにかくカッコいいです。スパーンと登場した途端、うおおおと湧き上がるような思いがいたしました。

さらに尾上右近さんの女形としての清元の唄や、時事ネタとしてきつねダンスならぬうさぎ音頭、そして手ぬぐい撒きで披露される彦三郎さんの強肩などなど、お約束のお楽しみも満載でした。

長尺のお芝居ながら、近くにいらしたお子様が集中してご覧になっていたのが印象的です。世代問わず楽しめる内容であったのだなあと思います。この先も末永く芝居の楽しみを守っていこうという力強いメッセージも感じました。

 

私が出かけた日は、獅子舞の披露がありました。国立劇場の獅子舞は袴を履いています。袴の部分がうまく撮れておらずすみません…

ロビーは大勢の人でごった返していました。このようなお正月のロビーの光景も、これでしばし見納めと思いますと寂しいですね…。


毎年恒例のお正月の凧の飾りも、さよなら公演仕様になっていました。あぜくら作りの劇場はこうして見ても素敵です。タンポポのような照明も大好きです。この空間を取り壊してしまうのは本当に残念に思います。

工事についてその後どうなったのかわかりませんが、どうか良い形で折り合いがつき、公演が守られますようにと祈るばかりです。

 

また、伝統芸能情報館で開催されている「上方浮世絵展」も大変充実した内容でした!東京で上方浮世絵をあれほどたくさん一度に拝見できたのは初めてでしたし、状態も大変良いものばかりでしたので、とても興奮いたしました…!!!こんなに貴重なコレクションがあったとは。

上方浮世絵は江戸の役者絵とは違ったタッチで、上方の人々が芝居に求めていたものが感覚で伝わってきます。浮世絵は、上手いかどうかという視点では味わいきれない点がおもしろいところですね。国立劇場へお出かけの際はぜひにとおすすめいたします!

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.