ただいま歌舞伎座で上演されている二月大歌舞伎
第二部「女車引」は、三大狂言のひとつとして知られる「菅原伝授手習鑑」の名場面「車引」を題材とした華やかな舞踊です。車引には三つ子が登場しますが、女車引ではその三つ子の妻たちを登場させてみたという趣向です。今回は魁春さん、雀右衛門さん、七之助さんが共演されていて、それぞれの世代の美しさが感じられます。
元の「菅原伝授手習鑑 車引」は非常に上演頻度の高い演目です。内容を把握しておきますと今回の「女車引」だけでなく、今後の芝居見物のお役にも立つかと思います。今回初めてご覧になる方にとって何らかのお役に立てれば幸いです。
そもそも菅原伝授手習鑑とは
菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)は、菅原道真の大宰府左遷という歴史上の出来事に、三つ子ちゃん誕生の話題を織りまぜて作られた物語で、さまざまなケースにおける「別れ」を描き出しています。
そんななかで「車引」はショー的な味わいがある異色の場面で、三つ子たちそれぞれの立場の違いと、それによって生まれる対立を様式的に描いています。
三つ子の名前は松王丸・桜丸・梅王丸。クールな松王丸、繊細な桜丸、正義感の梅王丸という明確なキャラクター付けがなされていて、その妻はそれぞれに松王丸…千代、桜丸…八重、梅王丸…春と、イメージに合った名前が付けられています。
まずは菅原伝授手習鑑全体の流れをご紹介したのがこちらの回です。
ざっくりとしたあらすじ
つづいては、前提情報などをおさえながらお話したあらすじをご紹介いたします。
女車引はこの通りではないのですが、比べながらご覧になるとより楽しめるかもしれません。
三つ子のその後
「車引」の場面の後、三つ子たちは妻とともにそれぞれの結末を迎えます。結末を知りますと、女車引における千代・八重・春の見え方もどこか違ってくるかもしれません。