ただいま巡業公演として各地を巡っている
十三代目 市川團十郎白猿襲名披露巡業
昨年11月・12月に歌舞伎座にて襲名披露興行が執り行われたばかりの團十郎さんが、ゆかりの地である石川県を含む各地の劇場で「歌舞伎十八番の内 勧進帳」を披露されています。
「歌舞伎十八番の内 勧進帳」は、歌舞伎座での襲名披露でも上演されていたもので、成田屋と大変ゆかりの深い演目です。巡業公演では團十郎さんの弁慶に梅玉さんの富樫、児太郎さんの義経という配役で上演されています。歌舞伎座の襲名披露では同世代の方々とのご共演でしたが、今回は人間国宝の梅玉さんの関所が高く立ちはだかるといううことで、また違った味わいがありそうです。歌舞伎座の襲名披露をご覧になった方にも、そうでない方にも、ぜひにとおすすめいたします。
「歌舞伎十八番の内 勧進帳」については過去にお話したものがいくつもありますので、お役に立ちそうなものを一つまとめたいと思います。何らかのお役に立てれば幸いです。古いものも含まれており、内容が拙くお恥ずかしいのですが、何卒ご容赦願います。
歌舞伎十八番の内 勧進帳とは
歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)は、能の「安宅」を題材とした演目。都を追われた源義経の逃避行を描きます。主君義経を守らねばならない忠臣・弁慶、極限状態のなかで発揮される知略と豪胆さが見ものです。能舞台を模した松羽目と呼ばれるシンプルな大道具を使い、長唄と呼ばれる華やかな音楽とともに、大変スリリングな物語が展開していきます。
基本的な事項を本当にざっくりとお話しますと、
状況:都を追われた源義経が家来の武蔵坊弁慶たちとともに山伏一行に変装して逃げている。
出来事:関守の富樫左衛門が守る安宅の関に差し掛かるが、正体を見破られる。
結末:弁慶は持っていた巻物を「勧進帳」として読み上げるなどして義経を守り抜き、一行は無事に関を越える
というものであります。
勧進帳のあらすじ
勧進帳全体のあらすじを詞章を紹介しながらお話したものが、こちらにまとまっています。各ブロックごとに記事に飛べるようになっています。ご活用ください。
勧進帳は一見ヒントが少ないのでわかりにくいのですが、見れば見るほど、聞けば聞くほどに味わい深い、たまらない演目です。ぜひ詞章とともに味わってみてください。
成田屋とのゆかり
今回の襲名披露狂言として選ばれている由縁についてのお話もあります。古い物で内容が非常に薄いのですが、何かのヒントになれば幸いです。
富樫左衛門のモデル
どちらの演目においても重要人物である関守・富樫左衛門の、モデル説についてごく簡単にお話したのがこちらの回です。
鎌倉殿の13人と勧進帳
演目の題材となっている源義経のはかなき運命は、昨年放送されていた大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも描かれていました。放送を拝見して思ったことなどをつらつらと述べたのがこちらの回です。放送をご覧になった方にはお楽しみいただけるかもしれません。ぜひご一読ください。