歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【あす14日】歌舞伎座・團菊祭五月大歌舞伎 チケット一般発売! 2023年

来たる14日(金)は5月の歌舞伎座公演

歌舞伎座新開場十周年
團菊祭五月大歌舞伎のチケット一般発売日です!

2013年4月に開場した現在の歌舞伎座の十周年記念公演。團菊祭とは、明治の名優である九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の二人の功績を讃えるための興行で、ゆかりの家の方々がずらりと揃います。

昨年襲名披露が行われた十三代團十郎さんが、團十郎の名跡でご出演になる初めての團菊祭でもありますね。十二代目の團十郎さんは残念ながら歌舞伎座開場を目の前にして亡くなられましたので、それから10年の時を経て、ようやく團十郎の名跡のある團菊祭が開催されることになり、時の流れを感じさせられます。

團菊祭は歌舞伎が初めての方でも楽しめる演目の多い公演で、古典歌舞伎を見てみたいなあという方にもうってつけです。チケットはお早目の確保をおすすめいたします!

公演の詳細

www.kabuki-bito.jp

一般発売日

4月14日(金)10:00~

【チケットWeb松竹】

会期・上演時間

2023年5月2日(火)~27日(土)

昼の部 11:00~
夜の部 16:00~
休演日:10日(水)、17日(水)

チケット料金

一等席        18,000円
二等席   14,000円
3階A席     6,000円
3階B席      4,000円
1階桟敷席  20,000円

二部制になりましたので若干チケット代が値上がりしています。しかしながら通しで考えますとかなりお得になりました。

歌舞伎座の感染対策

歌舞伎座では長らく徹底した感染対策が取られてきましたが、近ごろ客席やロビーでのお食事が黙食にて解禁され、関係者の方による大向こうも復活しました!芝居見物の楽しみは元の状態にかなり近づいています。残すところは一幕見席の復活ですね。初めての方にもコアな方にも良いシステムでしたので、復活を願ってやみません。

ともあれ歌舞伎座の感染対策はこれまで非常に厳格に守られ、我々観客の健康をしっかりと守っていただいてきましたから、今後も提示のとおりに取り組んでまいりましょう。

おすすめのポイント

團菊祭五月大歌舞伎は、明治時代に活躍した名優・九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の功績を讃える公演です。歌舞伎というと江戸時代からずっと同じものが上演されているような気がしますけれども、実はそういうわけでもなく、現在私たちが見ることのできる歌舞伎の演目の礎の多くは明治時代の歌舞伎役者の方々、特に九代目團十郎と五代目菊五郎によって築かれています。

そんなわけですので、お二人ゆかりの團菊祭では、有名で・歌舞伎らしく・魅力のある演目が上演されることが多いです。初めての方や、演目選びがご不安な方に特におすすめです。

各部の内容と見どころを簡単にご紹介いたします。

 

昼の部は「寿曽我対面」「若き日の信長」「音菊眞秀若武者」の三本立てです。

寿曽我対面」は、くまどりを施してド派手な衣装を身に着けた登場人物やいかにも歌舞伎らしいダイナミックな動き、絵のようなシーンを楽しめる演目です。内容としては曽我十郎・五郎の兄弟が、父の敵である工藤祐経に対面するというただそれだけのシーンなのですが、とにかく歌舞伎らしいスタイルを楽しむのが眼目です。今回は曽我五郎を松也さん、曽我十郎を尾上右近さんがお勤めになりますので、歌舞伎が初めての方にも馴染みのあるお顔触れかと思います。

若き日の信長」はその名の通り、若き日の織田信長の心理的葛藤を描いた演目。昭和期に作られた作品ですのでセリフが現代語に近く、初めての方にも聞き取りやすいはずです。セリフの聞き取りに不安をお持ちの方にはおすすめです。今回は十二代目市川團十郎十年祭と冠し、2013年にこの世を去られた十二代目の團十郎さんゆかりの演目として、襲名披露が記憶に新しい当代團十郎さんによって上演されます。

音菊眞秀若武者」は、菊五郎さんのお孫さんでこれまでも歌舞伎の舞台で活躍してこられた寺島眞秀さんが、初代尾上眞秀の名跡での初舞台を踏まれる記念の演目。菊五郎さんとの初舞台でのご共演はまたとない機会です。眞秀さんは大河ドラマ「どうする家康」にもご出演の活躍ぶりで、将来はどのような役者さんになられるのか、今から非常に楽しみな方のひとりです。

 

夜の部は「宮島のだんまり」「達陀(だったん)」「梅雨小袖昔八丈」の三本立てです。

宮島のだんまり」は、なぜか源平合戦ゆかりの人々が厳島神社に集結し、暗闇の中で巻物を奪い合うという内容の演目です。歌舞伎には登場人物たちが暗闇で探り合う動きをショー的に見せる「だんまり」という演出があり、前後の内容はさておきだんまりだけを見せるという力技の上演形態も存在しています。この宮島のだんまりは「傾城だと思ったら盗賊でした」というぶっ飛んだ設定の登場人物が眼目で、とにかく役者さんの動きと演出のおもしろさを感覚的に楽しめます。

達陀(だったん)」は、東大寺二月堂のお水取りを題材とした舞踊劇です。東大寺二月堂のお水取りといえば、小さな木造建築の中を松明を持って駆け抜けるという迫力満点の行事ですが、これを表現した迫力ある群舞が楽しめます。カッコいいのですが上演頻度の低い演目で、このすえひろも非常に楽しみにしています!

梅雨小袖昔八丈」は、髪結新三という通称でも知られる歌舞伎の名作演目の一つです。江戸時代でいうところの現代ドラマである世話物と呼ばれるジャンルの名作で、音楽のようなセリフの小気味よさが魅力です。髪結を生業としている新三という男が女性を誘拐して身代金をせしめようとするという物騒な話なのですが、役者さんのカッコよさや風情で彩られ、なぜかとてもカッコよく見えるという歌舞伎ならではの面白さに溢れています。今回は菊之助さんが主役の新三をお勤めになります。菊之助さんはこれからの時代の歌舞伎を背負う方ですから、進化が常に楽しみです。

 

初めての方には、どの部も大変おすすめです。せっかく歌舞伎を見るのなら歌舞伎らしい衣装・化粧がご覧になりたい方、芝居の内容理解を優先したい方には昼の部を。まずは有名演目をご覧になりたい方や、カッコいい舞踊にワクワクしたい方には夜の部をおすすめいたします。いずれにしても今日は歌舞伎を見たなあという満足感が得られやすい公演です!迷っておいでの方にはぜひにとおすすめいたします。

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