歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【2023年5月 南座で上演予定】やさしい妹背山婦女庭訓 まとめ

来たる12日から南座での上演が予定されている南座 歌舞伎鑑賞教室

南座の歌舞伎鑑賞教室は解説と古典の名作演目が二本立て、さらに全席3500円という破格の価格設定で上演される、初心者の方にぴったりの公演です!

また先日上演されていた新作歌舞伎 ファイナルファンタジーXにてリュックの役をお勤めになって話題を呼んだ上村吉太朗さんが主役のお三輪をお勤めになることもあり、FFX歌舞伎をきっかけに古典歌舞伎に興味をお持ちになった方にはぜひにとおすすめしたく思います。

上演される「妹背山婦女庭訓」は、古典歌舞伎の一ジャンルである義太夫狂言というものの名作として大変有名です。義太夫狂言というのは義太夫節という音楽に乗せて物語が展開していく関西をルーツとする作品群です。非常にエモーショナルなことが特徴で、見れば見るほど味わいが深まるスルメ的な魅力があります。

過去にお話したものがありますので、ここにひとつまとめてみます。かなり古い物ばかりですが、芝居見物のお役に立つことができれば幸いです。

そもそも妹背山婦女庭訓とは

妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)は、1771(明和8)年の1月に大坂竹本座で人形浄瑠璃として上演された演目です。その夏の8月に歌舞伎として上演されました。物語全体は非常に長く壮大で、様々なエピソードが展開していくのですけれども、今回は願絲縁苧環(ねがいのいとえにしのおだまき)の場面が上演されます。

二人の女性が一人の男性を巡って争い合うさまを舞踊的に描いた場面で、女性たちのキャラクターの違いが色鮮やかに描かれます。

モチーフは大化の改新

妹背山婦女庭訓のモチーフとなっているのは飛鳥時代の大化の改新です。とはいっても、今回上演の場面はラブストーリーであり、深く絡んでくることはありません。あくまでもフィクションですので、その点を念頭にご覧ください。

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もうひとつのモチーフ三輪山伝説

もうひとつのモチーフとなっている神話のラブストーリー「三輪山伝説」についてお話したのがこちらの回です。

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恋のモチーフ苧環(おだまき)

お三輪の恋を象徴するアイテムとして登場する「苧環(おだまき)」。一方通行の想いやもつれる三角関係を視覚的に表現している素晴らしい演出だなと思います。

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お三輪の衣裳は緑色

歌舞伎の衣裳は色とりどりありますが、実は着物の色にも意味があり「○○な人」という記号になっている場合が多いです。お三輪の衣装の緑にも意味がありますので、それについてご紹介したのがこちらです。

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さらに柄にも意味があります。初見で芝居内容までくまなく理解するのはなかなか難しいかと思いますが、そういった場合はまず衣装の隅々まで見てみるというだけでも色々な疑問が湧き、発見が生まれます。ぜひ様々な楽しみ方をお試しくださいませ。

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公演の詳細

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