来たる13日(火)来月の国立劇場で上演される令和5年7月歌舞伎鑑賞教室のチケット一般発売が始まっています!
歌舞伎鑑賞教室とは、毎年夏に国立劇場で開催されている解説プログラム付きの公演です。歌舞伎を初めてご覧になる方でもわかりやすい演目、魅力のある演目が選ばれていて、通常公演の歌舞伎演目よりもリーズナブルな価格設定です。世代問わず最初の一歩として大変おすすめの公演です。
今回の演目は「双蝶々曲輪日記-引窓-」。殺人を犯した大人気力士が、逃亡中に母親の家を訪ねたことから生まれるドラマです。複雑な家庭の事情のなか、登場人物たちがそれぞれの立場で互いを思いやる、胸に沁み入るホームドラマであります。
第一期国立劇場は建て替えのため秋に閉場してしまいますので、現在の建物での歌舞伎鑑賞教室はこれをもって終了となります。重厚で素敵な建物と、昭和レトロな雰囲気、美しいロビー空間や美術品を堪能できる貴重なチャンスです。この機会にぜひにとおすすめいたします!
公演の詳細
一般発売日
6月13日(火)10:00~
会期・上演時間
2023年7月3日(月)~2023年7月24日(月)
11:00~13:05(予定)
14:30~16:35(予定)
社会人のための鑑賞教室(18時30分開演):6日(木)・20日(木)
親子で楽しむ鑑賞教室:16日(日)・20日(木)~24日(月)
休演:7日(金)、17日(月・祝)は休演
チケット料金
1等席(1、2階) 4,500円
2等席(3階) 3,000円
学生料金
全席 1,800円
親子特別割引料金
「親子で楽しむ歌舞伎教室」期間に親子でお出かけの場合は特別料金があります。18歳以下まで対象で大変お得ですので、該当の方は要チェックです。
親:1等席 2,500円、2等席 2,000円
子(18歳以下):全席 1,500円
みどころ
7月の歌舞伎鑑賞教室の演目は「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)-引窓(ひきまど)-」
江戸時代の大人気職業のひとつ・おすもうさんを主役とした物語のうちの名シーンです。当時のおすもうさんたちは高給取りでしたが、その裏でご贔屓達に支えられていたようです。おすもうさんはそんなご贔屓方へ忠義の思いを抱きながら生きていたということが物語のポイントとなります。
スター力士の濡髪長五郎は、恩あるご贔屓を思うがゆえの運命のいたずらから、なんと殺人犯になってしまいます。濡髪は逃亡生活を送るなか、生みの母のもとを立ち寄ります。ところが母には義理の息子・南与兵衛がおり、彼は「殺人犯・濡髪長五郎の逮捕」を命じられているのでした。
果たして濡髪長五郎の運命はどうなるのか、板挟みとなった母はどうするのか、南与兵衛の選択は…というドラマです。歌舞伎の演目にしては比較的珍しく、わかりやすい悪役という人物がいません。であるからこそ、善悪では描き切れない人間の心の奥行きが感じられます。そういった点では、現代的なドラマといえるのではないでしょうか。
くまどりや派手な衣装などの要素がなく視覚的にはとてもシンプルな演目なので、鑑賞教室としてはとても渋いセレクトかと思います。が、本当に良い、あたたかく素晴らしい物語ですので、華やかな要素を期待されている方にもぜひ一度とおすすめしたいです。現在の国立劇場の鑑賞教室を締めくくる公演としてこの演目が選ばれたわけで、舞台に関係する方々の格別の思い入れを想像します。盛況となることを祈っております。