ただいま歌舞伎座で上演中の團菊祭五月大歌舞伎
團菊祭とは、明治時代に活躍した名優・九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の功績を讃えるためのお祭りです。團十郎家、菊五郎家に縁ある方々が揃って、ゆかりの演目を上演します。
夜の部「伽羅先代萩」は、仙台藩伊達家のお家騒動をモチーフとした物語です。今回は女形の大役・政岡に菊之助さん、そしてお家乗っ取りを企む大悪人の仁木弾正を團十郎さんがお勤めになります。この演目もまさしく團菊の組み合わせで大変豪華です。
さらに政岡の一子・千松を菊之助さんご子息の丑之助さんが、政岡が我が子の命を捨てても守るべき若君・鶴千代を歌昇さんご子息の種之助さんがお勤めになります。この二役は歌舞伎の子役の定番でもあるのですが、出演者ゆかりのお子さんがちょうど適齢の時に上演されるとは限らないものです。お父さまが政岡をお勤めになることのできる方とも限りません。
ですので、今回のような実の親子での政岡千松の共演というのは大変貴重です。まさに今しか見ることのできない舞台ですので、ご興味をお持ちの方はぜひにとおすすめいたします!
そんな「伽羅先代萩」については過去にもお話したものがございますので、ここにひとつまとめてみます。何かのお役に立てれば幸いです。
そもそも伊達騒動とは
江戸時代の仙台藩で起こった「伊達騒動」があまりにもドラマチックであるために、お芝居の格好の題材になり派生した演目が作られています。まずは伊達騒動の概要についてご紹介いたします。
伽羅先代萩のあらすじ
伊達騒動を題材とした演目のなかでも、現行上演されている決定版といえるのが「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」。このあらすじを5回に分けてご紹介したのがこちらの回です。
主な役柄について
実際の騒動を題材としているため、主な登場人物には実在のモデルがいます。
政岡と仁木弾正のモデルについてお話したのがこちらの回です。
政岡をめぐる歌舞伎の記号
耐え難いこと耐え抜いて自分の責務を全うする政岡には、歌舞伎のお約束がたくさん盛り込まれています。そのことについてお話したのがこちらの回です。