早いもので七月も今日でおわり…
みなさま大変ご無沙汰しております。うだるように暑い毎日ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。このすえひろはといえば今月は用事に追われ、すっかり筆無精になっておりました。
そんななか、日帰りや泊まりを組み合わせながら、自分にできる限りの範囲で大阪へ参りまして仁左衛門さんのいがみの権太を拝見いたしました。とにかく素晴らしかったです。感無量です…。それに加えて歌舞伎座の昼夜、ティアラこうとうでの歌舞伎鑑賞教室など、非常に芝居に忙しいひと月でありました。
歌舞伎ファン人生の始点
仁左衛門さんのいがみの権太は昨年六月の歌舞伎座での上演のあとはもうしばらく拝見できないと思いこみ、集大成のように感じておりましたので、まさか今年もまた拝見できるとは思っておりませんでした。貴重な上演機会に感謝しきりです。
仁左衛門さんのいがみの権太による「義経千本桜 木の実・小金吾討死・すし屋」は、私にとっては本当に特別な芝居です。
幕見席に通って同じ芝居を何度も何度も、記憶に刷り込まれてしまうほどに繰り返し見るという行為をしたのは、この芝居が初めてでした。2013年10月の歌舞伎座「通し狂言 義経千本桜」でのことです。生まれて初めて歌舞伎座の一等席の切符を買ったのも、この千穐楽でした。
何度繰り返しても見たくなるような芝居があることも、金銭的な額面を超えた価値を感じられる芸というものが存在することも、全てこの芝居で知りました。また、義太夫狂言の奥深さ、関西の文化の魅力などなど、自分自身がこの10年と少しの間に夢中になって来た事柄のきっかけ全てが、この芝居の中に詰まっています。
仁左衛門さんのいがみの権太に出会っていなければ、自分はこれほど歌舞伎に夢中になっていたかわかりません。一つの芝居に出会ったことでこれほどまでに人生が豊かになるのかと驚くとともに、仁左衛門さんへの感謝の思いがあふれ出してくるのです。
そんな大切な芝居を、10年以上経った今も変わらず拝見できるということは、もう本当に奇跡のようなことで、この思い出を胸に生きていけそうです。すし屋をはじめ今月拝見した芝居については、また追ってお話できればと思います。
さて、来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。
楽しみに今夜は休みたいと思います。おやすみなさいませ。