歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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九月をふりかえり… 

早いもので今日で九月もおわり…

大変ご無沙汰しております。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

このすえひろはといえば、ここのところ俄かに忙しくなってしまい様々な事柄が疎かになっておりますが、毎月の歌舞伎だけはしっかりと拝見しております。

忙しい時こそ、毎月毎月きっちりと上演されている公演サイクルによって季節を把握でき、大変便利でありがたく思います。秀山祭が楽となり、もう十月なのだなあと気づくことができました。

   

今月の歌舞伎座では吉右衛門さんの芸を顕彰する9月恒例の秀山祭が開催されていましたね。幸四郎さんや菊之助さんをはじめ吉右衛門さんゆかりの方々が揃い、ゆかりの深い演目などが上演されました。

 

私が拝見した日は、夜の部「勧進帳」で幸四郎さんが手にしていた数珠が客席に飛んでいってしまうハプニングがありました。数珠は吉右衛門さんが使っていらした物だそうで、後見の吉之丞さんが目線だけで数珠の行方を必死に捜していらしたようすが印象深く胸に刻まれています。皆様内心とても慌てていらしたことでしょう。

 

秀山祭を昼夜ともに楽しみましたが、年月を経るごとに吉右衛門さんのご不在が際立っていくようです。芝居を見ていても、こんな役のとき吉右衛門さんはどうお勤めになっていたかしらと何度も思い返してしまいます。

目の前の芝居に対して生理的に心が動いても、それが歌舞伎として真に上質と言えるのか、そういったことを判断できる指標になる方がいないというのは、本当に寂しく、鑑賞者としても不安なことです。吉右衛門さんがいかに大きな存在であったか。自分自身の歌舞伎を見る目の礎、そのものであったのだなと、つくづく思い知る日々であります。

こう申していても詮ないことですが…。九月ですので、感傷をお許しください。

 

さて、来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。

楽しみに今夜は休みたいと思います。おやすみなさいませ。

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