歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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歌舞伎座 錦秋十月大歌舞伎 昼の部「俊寛」「音菊曽我彩」「権三と助十」を見てきました!2024年

このところ急激に肌寒くなりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。悪い風邪が流行っているそうですのでご自愛くださいませ。

このすえひろはといえば、近ごろ家の荷物の片づけをしておりまして、溜まりに溜まった懐かしいチラシや歌舞伎関連の新聞記事などをコツコツファイリングしております。

新聞記事はちょうど4年くらい溜めてしまいましたので、歌舞伎座で上演された仁左衛門さん玉三郎さんによる桜姫東文章の劇評なども出てきて、思い出が生き生きと蘇ってきました。今月もお二人ご共演の夜の部は既に入手困難とのこと、衰え知らずの人気ぶりですね。

先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして錦秋十月大歌舞伎の昼の部を拝見していまいりました!備忘録として少しばかり感想をしたためたいと思います。

   

昼の部は「平家女護島 俊寛」「音菊曽我彩 稚児姿出世始話」「権三と助十 神田橋本町裏長屋」という狂言立てです。

 

平家女護島 俊寛」は近松門左衛門の時代物の名作。流罪となった政治犯の俊寛が、赦免のチャンスを得ながらも、絶海の孤島にひとり残ることを選ぶという人間ドラマであります。今回は菊之助さんの俊寛僧都、萬太郎さんの丹波少将成経、吉之丞さんの平判官康頼、吉太朗さんの海女千鳥、又五郎さんの瀬尾太郎兼康、歌六さんの丹左衛門尉基康という配役でした。

昨月の合邦に続いて菊之助さんの芝居は文楽の人形のような、何を思っているのか表面的にはわからないのだけれども念の強さだけは感じる…という味わいでありました。他には、特に吉太朗さんの千鳥が印象深く胸に残っています。孝太郎さんの千鳥のような素朴な愛らしさがありました。

今回は近松門左衛門没後300年という記念の上演です。「思い切っても凡夫心」という一節は本当に見事ですよね。たった12文字の中に俊寛のドラマの全てが詰まっています。日本語の表現の豊かさを感じます。

 

続く「音菊曽我彩 稚児姿出世始話」は、寿曽我対面をモチーフとした華やかな舞踊でした。主な配役は尾上右近さんの曽我一万(のちの十郎)、眞秀さんの曽我箱王(のちの五郎)、菊五郎さんの工藤左衛門祐経です。菊五郎さんは板付きでの登場でしたが、お元気なお姿を拝見し、その大きな存在感を堪能できてとてもうれしく思います。

眞秀さんは少し見ない間ににょきにょきと手足が伸び大きくなられていて驚き入りました!成長期ですね。次に拝見する時にはますます大きくなられ、かわいらしさが凛々しさに変化しているのかもしれないなと思うとなにやら寂しさのようなものも感じます。成長期の芝居は一期一会ですね。

 

最後の「権三と助十 神田橋本町裏長屋」は、大岡政談をモチーフとした岡本綺堂作の新歌舞伎です。主な配役は、獅童さんの権三、松緑さんの助十、時蔵さんの権三女房おかん、亀蔵さんの助八、歌六さんの家主六郎兵衛というものでした。

以前にも拝見しているものの内容をすっかり忘れていました。舞台の転換がない長屋の場面のみの上演でしたが、前回もそうでしたかしら。ちょっとうろ覚えです。歌舞伎座の舞台機構に傷みがあり来月メンテナンスが行われるというお知らせがありましたが、その影響でしょうか。いや、違うかもしれません。あいまいですみません。

 

ほぼワンシチュエーションでセリフのやり取りのみという芝居でありながら、役者さんたちが生み出すグルーブ感によって、テンポよく楽しく拝見できました。特に時蔵さんの女房おかんが色っぽくておもしろくて、大変魅力的でした。

また、東蔵さんのお元気なお姿を拝見できたのが本当にうれしかったです!東蔵さんのお声のハリが全く変わらずご健在で安心いたしました。86歳であのお声のハリ、一体どういうことなんでしょうか。健康にあやかりたい限りです。

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