歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

【あす14日】歌舞伎座・團菊祭五月大歌舞伎 チケット一般発売! 2024年

あす14日(日)は5月の歌舞伎座公演

團菊祭五月大歌舞伎のチケット一般発売日です!

「團菊祭」というのは、明治の名優である九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の二人の功績を讃えるための興行です。毎年五月に、ゆかりの演目をゆかりの家の方々そろい踏みで上演されます。

お出かけにぴったりの時節ということもあり人気の公演ですので、チケットは早めの確保をおすすめいたします!

公演の詳細

www.kabuki-bito.jp

一般発売日

4月14日(日)10:00~

【チケットWeb松竹】

会期・上演時間

2024年5月2日(木)~26日(日)

昼の部 11:00~
夜の部 16:30~

休演日:8日(水)、16日(木)

チケット料金

一等席        18,000円
二等席   14,000円
3階A席     6,000円
3階B席      4,000円
1階桟敷席  20,000円

このほか、一部事前予約制でリーズナブルな「一幕見席」があります。三階席のチケットは早めに埋まってしまいますが、一幕席であれば前日予約が可能ですので、ぜひこちらもお試しください。

おすすめのポイント

團菊祭五月大歌舞伎は九代目團十郎と五代目菊五郎の功績を讃えた興行です。

九代目團十郎と五代目菊五郎の当たり役は古典歌舞伎の名作として現在に残っているものが数多くある。というよりもむしろ、二人の当たり役が現在に残る歌舞伎の礎である…といった方が近いほどの功績を残された方々であります。それゆえ團菊祭で上演される演目は「これぞ歌舞伎!」というような作品が多く、初めての方には特におすすめの興行です。

今回初めてご覧になる方へ、各部の内容をごく簡単にご紹介いたします。演目選びのご参考になさってください。

 

昼の部は「鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)」「歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)」「極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)」というラインナップです。

鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)」は、通称おしどりと呼ばれている舞踊です。その名の通りおしどりのような男女の情深き愛を描いたものなのですが、人間の男女と思われたのが、実は…というのがおもしろいところです。

今回はテレビなどでも人気の松也さんと尾上右近さんがカップルをお勤めになります。知っているお顔があるだけでもかなり舞台に入り込みやすくなりますのでおすすめです。

 

続く「歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)」は、あの日用品の毛抜そのものが登場する演目です。粂寺弾正というお茶目な男が、毛が逆立ってしまう奇病を患ったお姫様を救うため、毛抜をきっかけにあるトリックを見破るという内容であります。こうご説明しても、はて、という内容なのですが、本当にこのような芝居が成立してしまうのも歌舞伎のおもしろみのひとつではないでしょうか。

またこの演目は四世市川左團次一年祭追善狂言と冠されています。ユーモアにあふれて大人気であった左團次さんが亡くなられて早くも一年が経ってしまったのだなあとこのすえひろも大変寂しく思っております。今回はご子息の男女蔵さんが、主役の粂寺弾正をお勤めになります。團十郎さんが後見でご出演になるというのも非常に珍しく豪華な趣向です!

 

最後の「極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)」は、任侠集団・侠客と、旗本奴の一大抗争を描いたデンジャラスな演目です。いわゆる「血の気の多い男気集団どうしの血生ぐさい争い」というスタイルの物語で、現代も作られ続けているヤンキー系の青春映画のルーツのようなものなのかもしれませんね。

今回は侠客の親分幡随院長兵衛を團十郎さんが、町奴のリーダー水野十郎左衛門を菊之助さんがお勤めになります。現代の團菊のご共演とあってこのすえひろも非常に興奮しております!

 

夜の部は「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」「四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)」というラインナップです。

伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」は、古典歌舞伎の名作中の名作。仙台藩のお家騒動を題材とした演目です。御家の横領を図る悪人・仁木弾正から幼い若君・鶴千代を守るため、その乳母・政岡が、我が子・千松を犠牲にしてでも忠義を貫こうとする姿を描きます。我が子の死とハラスメントにひしと耐えて若君を守り抜く政岡の姿は、歌舞伎の女形の役の中でも大役として知られています。

今回は乳母政岡を菊之助さん、千松をご子息の丑之助さんがお勤めになります。真に迫ったお芝居が拝見できるのではないでしょうか。さらに仁木弾正を團十郎さんがお勤めになります。仁木弾正の登場はわずかですが、浮世絵などにも数多く描かれているたいへん印象深い名場面です。


続く「四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)」は、幕末に江戸城で発生した御金蔵破り事件を題材とした演目です。歌舞伎の演目の中にはどろぼうの活躍を描いたものが多くあり、「白浪物」という一ジャンルを築いています。そんな白浪物の名作者として知られている河竹黙阿弥によって、明治時代に初演された演目です。

今回は松緑さんと梅玉さんのコンビで上演されます。上演頻度が比較的低いレア演目ですのでこちらも必見です!

 

どちらの部も初めての方におすすめなのですが、内容のわかりやすさやシンプルさなどのバランスの観点でいえば、昼の部がよりおすすめかなと思います。

個人的におすすめしたいのは夜の部の「伽羅先代萩」です。初見では難しい部分も多々ある演目かと思いますが、古典の名作として大変有名であり、我が子を犠牲にしても忠義を貫こうとする歌舞伎独特のドラマ性が堪能できます。そんなわけあるかいと突っ込みたくなるような倫理観が、のっぴきならない切なる思いに感じられる不思議というのも歌舞伎の醍醐味ではないでしょうか。ぜひにとおすすめいたします!

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.