歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新して10周年を迎えました。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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2024年をふりかえり…

2024年の大みそか、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

このすえひろもおかげさまで元気に過ごしております。一年間私事で大変バタバタしていたのですが、歌舞伎を見る時間はなんとか守り抜くことができました。歌舞伎を見ることができる幸せ、さらに歌舞伎が毎月上演されている幸せを噛みしめております。

 

先日は毎年恒例の京都の顔見世に出かけまして、「元禄忠臣蔵 仙石屋敷」を拝見してまいりました!

仁左衛門さんの大石に鷹之資さんの主税という取り合わせが大変うれしく、素晴らしいひとときでした。仙石屋敷そのものは本当に久しぶりに拝見しました。仁左衛門さんの理知的な大石、そして鷹之資さんの主税の健気さに胸を締め付けられました。仁左衛門さんの大石から香り立つ父親の顔は最小限なのに、鷹之資さんの愛息子力が高すぎるので、相乗効果で親子の別れの切なさが響いてきました。

 

近ごろは宿泊費が高騰しているのでもっぱら日帰りでの遠征になってしまい、残念ながら全ての演目は見ることができませんでした。しかしながら、冬の京都の空気はやはり良いものですね。南座のまねきがまばゆいばかりでした。気が早いですが、来年も仁左衛門さんのまねきが上がるのを心待ちにしております。

 

本年は歌舞伎界にも様々な出来事がありましたが、中でも印象深いのは時蔵襲名です。

本当に素晴らしい役者さんと同世代に生まれ同じ時代を生きていけることが、こんなにも心強いものかと。時蔵さんは私が今後数十年にわたり歌舞伎を見ていく意味であり、希望であります。今後のご活躍が心の底から楽しみです。

一方で先日團蔵さんがお亡くなりになられたことが大変寂しく、心を痛めております。菊五郎さんの魚屋宗五郎での團蔵さんのお父さんが大好きでした。このような日が次々に来てしまうのはもうわかっていることなのですが、そのたびごとに悲しく、慣れることはありませんね。むしろ、歌舞伎を見て年月が経るごとに、失う寂しさつらさが強くなっていくように思います。この痛みと付き合っていくしかないですね。

 

また、2023年に閉場した国立劇場が宙ぶらりんのまま1年の月日が経っていることにも、強い悲しみと憤りを感じています。これは一体どういうことなのでしょうか。

無形文化財は命のあるうちに受け継がなければ永遠に失われてしまうことについて、また、それを生業として暮らしている方々について、どう考えているのか。

しかるべき方に、詳しい考えをぜひ伺いたいところです。

 

話は変わりますが、皆さま先日発売の、にざたま特集の「和楽」はお買い求めになられましたか?

このすえひろは予約して購入したのですが、開いた瞬間に「これは…!」と思い、急ぎ保存用を1部購入し、OPP袋でくるんで大切に保存しました。ちょっと興奮のあまり、一気に読んでしまうと危険だと判断し、未だしっかり読めていない状況です。良い意味でとんでもない企画でしたね…。ちょっと本当にたまらないですね。

ちびちびと読みつつ、聖典のように後生大事にしていきたいと思います。

 

来年はどんな芝居が待っているのでしょうか。

本年中は大変お世話になりました。2025年も何卒よろしくお願いいたします。

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