歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。 歌舞伎歴10年の20代。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい霊験亀山鉾 その三 お妻八郎兵衛と偽りの愛想尽かし

ただいま国立劇場で上演中の通し狂言 霊験亀山鉾

その二では物語の主題になっている事件「亀山の敵討ち」についてお話しましたが、

霊験亀山鉾には実は、もう一つの事件が盛り込まれています!

 

二幕目「駿州弥勒町丹波屋の場」に登場する芸者のおつまと、

極悪人・藤田水右衛門と生き写しの古手屋八郎兵衛が関係しますので

少しばかりお話したいと思います(人'v`*)

 

大坂中を騒がせたお妻八郎兵衛の事件

この二人の元ネタとなっているのは、

1702(元禄15)年の7月、大坂は四つ橋西浜で実際に起こった事件であります。

堀江の丹波屋という茶屋の娘・お妻を、嫉妬に狂った古手屋八郎兵衛が殺してしまったというものです。

このセンセーショナルな事件はすぐに歌舞伎化され、

大坂3座にて上演。世に広く知れ渡ることととなりました。

 

やがて歌舞伎・人形浄瑠璃ともに

八郎兵衛がお妻に嘘の愛想尽かしをされ

カッとなって殺してしまう

という物語のパターンが生まれ

お妻八郎兵衛物」という一つのジャンルを生み出すまでになります。

 

中でも代表的なものは歌舞伎の世話物

桜鍔恨鮫鞘(さくらつばうらみのさめざや)」です。

霊験亀山鉾でも、おつまが八郎兵衛を殺す仁王三郎の脇差は鮫鞘ですから、

当時の人々は

あぁなるほどあの鮫鞘ね!

さすがは南北、うまいこと使ったね

と南北の趣向を楽しんでいたのだろうと思います。

 

現代の私達も実際の事件や大騒動がタイムリーにパロディ化されて

ドラマやお笑いのネタに盛り込まれていると、

とてもおもしろく感じるということがありますよね。

 

江戸時代の人々もその点は同じであったようですが、

お妻八郎兵衛の事件から霊験亀山鉾の上演までは

実に120年もの年月が過ぎているというのが驚きですΣ('0'o)

 

浄瑠璃や歌舞伎によって、

人々がある事件を「共通認識」として持つ期間が

尋常ならざる長さに引き伸ばされていたんでしょうか。

娯楽のパワーには驚かされるばかりです(´▽`)

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