ただいま歌舞伎座で上演中の三月大歌舞伎!
夜の部「助六由縁江戸桜」について少しばかりお話しております。
なにかのお役に立てればうれしく思います(人'v`*)
今日は「助六由縁江戸桜」の主人公である
花川戸の助六 実は 曽我五郎時致(そがのごろうときむね)
という役柄について、いくつかのお話です。
とてもざっくりとした内容はこちらに紹介しておりますのでご一読ください…
助六の衣装
助六といえば江戸一の美男で、喧嘩が強く、女性にはモテモテ
粋な江戸っ子の象徴という役柄であります(n´v`n)
そんな助六の出で立ちはとにかくおしゃれ!
他の登場人物たちの派手な姿とは対照的に
蛇の目傘と黒一色のスキッとした衣装が舞台の上に映えてたいへん美しいです。
鉢巻きの江戸紫や襟・袖・裾にわずかに覗く鮮やかな赤が色っぽく、
まさに江戸っ子好みの服装でありました。
江島さんと助六
助六は花道で二度お辞儀をします。
一度目は〽ゆかりの人の御贔屓の…で江島に対する感謝の気持ちをあらわし、
二回目はご見物くださるお客様への御礼です。
十二代目團十郎さんの書籍『新版 歌舞伎十八番』にはこのように書かれています。
江島というのはあの「江島生島事件」の江島さんであります。
「江島生島事件」をとても簡単にまとめますと
一、大奥御年寄という地位にある江島が、
二、歌舞伎役者の生島新五郎と遊んでいて、
三、お城の門限に遅れてしまって大問題となり、
四、歌舞伎関係者たちまでが大量に処罰されてしまった…
というもの。江戸歌舞伎史上最大の大事件です(・_・;)
この江島さんは二代目團十郎のことも贔屓にしていたそうですが、江島生島事件のとき二代目は連座をしていません。
しかし近衛家の紋「杏葉牡丹(ぎょようぼたん)」がついた着物やらを江島さんから受け取ったことを問われて大ピンチに。
お役人の機転で「これは市川家で使用する替紋だな」などと言い逃れたことで罪にならずに済み、無事に釈放されたとのことであります。
とはいえこのエピソードには諸説ありますので、いろいろと想像してワクワクしましょう(n´v`n)
この杏葉牡丹の紋は助六の着物と傘にも取り入れられていますので、よく目をこらしてみてくださいね。
「煙管の雨が降るようだ」
江戸一のモテ男・助六が舞台にやってくると、遊女たちは色めき立ってちやほやちやほや…
次から次へと助六さんに煙管を手渡してゆきます(人'v`*)♡
やがて助六さんの両手は持ちきれないほどの煙管でいっぱいに。
この場面での「煙管(キセル)の雨が降るようだ」というセリフが大変有名であります!
ここで遊女たちが手渡しているのは吸いつけ煙草というもの。
きざみ煙草を詰めた煙管をくちびるでひと吸いしておいて、馴染みのお客さんや良い男性に渡してあげるのです。
つまりは間接キスということなのですね(*´艸`)
そんな吸いつけ煙草を雨のごとく受け取るという、助六の強烈なモテっぷりを象徴する場面でした。
エピソードの尽きない助六さんですけれども、
ひとまず今日はこのあたりで失礼いたします(人'v`*)