こんばんは♪
今月上演中の義経千本桜!これは三大狂言と言われるうちの一つですからぜひ見どころなどをお伝えしたく、今日もお話をはじめます…
あらすじなどは少し調べればいろいろなところに詳しく書かれていますので、別の角度にスポットを当ててお話してみたいところです。
今日は今月の上演形式でいうところの第一部「渡海屋・大物浦」の渡海屋銀平についてお話いたしますので、しばしお付き合いいただければ幸いです。
物語の流れ
義経一行は九州を目指していましたが船が大破してしまい、いろいろあって大物浦の船問屋 渡海屋の主人・真綱の銀平に助けてもらって再び旅立ってゆきました。
そのうちいろいろとあり銀平の姿が一変、立派な白い鎧兜で身を固めて現れます。
銀平は実は、壇ノ浦で入水したはずの新中納言知盛。憎き義経をいつか討ち取ろうと機会をうかがっていたのです。
平家の亡霊に化けて、今こそ討ち取ってやるぞ!と出陣してゆくのでした。
渡海屋って?
この場面の舞台は、現在の兵庫県尼崎市のあたりをイメージしてください。
江戸時代、西の方では海運業が発達しておりました。瀬戸内海沿岸の町々を「渡海船」という船が頻繁に行き来して物資を運んでいたのだそうです。
九州や下関に向かう大型の船だけでなく、尼崎や兵庫などの近い距離を行き来する小さな船もたくさんありました。
そんな渡海船の船問屋、今でいう海運業者の主人が銀平です。
銀平の衣装
侠気に富んだ銀平。そのいでたちも、港で働く人々の姿を男伊達に仕上げたものが取り入れられています!他の演目に出てくる黒船忠右衛門という役も、似た衣装演出パターンのうちのひとつです。
銀平が着ているかっこいい羽織ものは、アイヌの民族衣装・厚司(あつし)とよばれるものです。ご覧になったことのある方はご存知かと思いますが、少し雰囲気が違い異国情緒のある柄で本当に素敵なのです!
銀平は渡海屋の主人なので貿易などに通じていて、人とは少し違う物を着ているかっこいい人なのだろうな、ということが伺えますね。
これに傘と高下駄を合わせたコーディネートが見事ですが、これは十九世紀以降の江戸で確立されたものなのだそうです。
400年の歴史がある歌舞伎、十九世紀以降などと聞くと最近のことのような気がきますから不思議です。
それでは、長くなってしまいましたので今日はこの辺りで終えたいと思います…
おやすみなさいませ。