歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい盛綱陣屋 その一 真田丸をイメージしながら

ただいま歌舞伎座で上演中の吉例顔見世大歌舞伎では八代目芝翫さんの襲名披露狂言として、夜の部で「盛綱陣屋」を上演中です!

今回は本当にさらりとしたものですがこの演目について少しお話いたしますので、 細かなあらすじは割愛しますけれどもひとつ覚えていただけたらうれしいです(人'v`*)

基本的なことがら

もとは1769年に大坂の竹本座で初演された人形浄瑠璃で、翌年の1770年に大坂で歌舞伎として上演された

近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)」という長い物語の中の一つの場面が「盛綱陣屋」です。

舞台は鎌倉時代。

北条時政と源頼家との確執を軸として、そこに佐々木盛綱・高綱兄弟の思いがドラマチックに展開してゆく物語であります。

実は大阪冬の陣

実はこのお話、鎌倉時代が舞台というのは表向きの設定。

あの有名な大坂冬の陣を脚色して作られた物語なのですΣ('0'o)

 

この作品が作られた時代は作劇へのお咎めが厳しく

徳川幕府や江戸のさむらいのお話をそのまま描いては徳川幕府を批判することになってしまうため

時代を移すなりして直接的な表現を避けなければなりませんでした。

こういったことは以前もお話しましたよね!

現在国立劇場で上演中の仮名手本忠臣蔵もそうでした(*´艸`)

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こういった厳しい取り締まりがあったからこそ、

斬新な発想のおもしろいお芝居がたくさん生まれたとも言えるのではないでしょうか(人'v`*)

 

この「盛綱陣屋」での主人公である佐々木盛綱、そして高綱の兄弟は、

今年大人気となった大河ドラマでもおなじみの真田信幸幸村兄弟のことであります。

盛綱がついている北条時政徳川家康

高綱がついている源頼家豊臣秀頼

兄弟は東西に分かれている状況であるという事を念頭に置いてみると

特に真田丸をご覧になっている方は、

兄・盛綱の苦悩や情けによりいっそうの思い入れを持つことができるのではないかなと思います。゚゚(´□`。)°゚。

 

かくいうこのすえひろ家では、堺雅人さん見たさに「真田丸」を11カ月にわたり延々録画し続けていますが

まだ一話たりとてきちんと見ることができずにおります・・・(ノv`*)

恥ずかしながら日本史、特に戦国時代にはたいへん疎い人間であります。

 

むしろ、今月の襲名狂言は盛綱陣屋だなぁと思ってから初めて

「盛綱陣屋かっこいい!そうだ録画した真田丸をそろそろ見ようかな」と思ったくらいです。

こんな私でも歌舞伎は楽しめますので、日本史が苦手だから歌舞伎は無理かもしれない・・・とお考えの方はどうぞご安心ください(人'v`*)

三婆(さんばばあ)

歌舞伎の老女形の三大大役を

三婆(さんばばあ)」と呼びます。

なんだかひどいネーミングのように思いますが、 これはたいへん難しくやりがいのある役なのだそうです。

 

「盛綱陣屋」の微妙

「菅原伝授手習鑑」の覚寿

「本朝廿四孝」の越路(「輝虎配膳」の越路の場合あり)

の三人が三婆と呼ばれるおばあさんたちです。 

微妙は、かわいい二人の孫である小三郎・小四郎への愛情とさむらいのならいの間で苦しむとてもつらい役どころでした(。´_`。)

 

老女形のお芝居はこの三婆の他にも、いろいろな悲劇を描き出す素晴らしい役がたくさんあります。

熟練の芸のなせる技ですので、じっくりと楽しみたいですね。

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