歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。 歌舞伎歴10年の20代。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい絵本太功記 その三 簡単なあらすじ

ただいま歌舞伎座で上演中の猿若祭二月大歌舞伎

夜の部「絵本太功記」について少しばかりお話してきました。

今日はざっくりとしたあらすじについてお話いたしますので、今月初めてご覧になってなにやらよくわからなかったという方のお役に立てればうれしく思います(人'v`*)

いろいろと端折ってしまいますので、お手柔らかにお願いいたします・・・

ざっくりとしたあらすじ

今からお話しますのは絵本太功記の中の「尼ケ崎閑居の段」です。

この場面は武智光秀が、本能寺に滞在していた主君の小田春永を討ってしまったあとのお話であります。名前こそ違いますが、まさにあの本能寺の変のことだなぁと思ってくださいね。

 

舞台は播磨国尼ケ崎の庵室…

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ここは武智光秀のお母さん・皐月(さつき)が滞在しているおうちです。

皐月は息子が自らの主君を討ったことを良く思わず、あの子はなんで謀反なんてしたのよ…と引きこもっていました(。´_`。)

 

光秀の妻のはそんなお姑さんの様子が心配ですヽ(´o`;

息子の十次郎とその許嫁の初菊の若者二人を連れて尼ケ崎へとやってきました。

 

光秀の息子・十次郎というのはとてもできた子で、

お父さんが春永を討ったため、春永の敵を討とうとする真柴久吉(秀吉のことです)とお父さんとの合戦は近いぞ…(・・;)

と見越しており

初陣に出ることをおばあちゃんに許してもらおう、討死も覚悟だ、とお別れの準備をして正装でやってきました。

光秀は謀反人であっても、大切なお父さんであります。どうにか助けたいのです。

許嫁の初菊に対しても、もうすぐ死んでしまうから別の家にお嫁に行ってほしい…と思いやる優しさを持っています。

 

しかし初菊ちゃんは、大好きな十次郎にどうしても初陣に出ないでもらいたい一心。゚゚(´□`。)°゚。

どうにかして止めたいとがんばりますが、十次郎の決心はかたく「鎧を用意してくれ」と告げて奥へと入ってしまいます。

この場面の二人の切ないやりとりや重い鎧を一生懸命運ぶ姿などが見どころです(人'v`*)

 

支度を終えた十次郎の鎧姿はそれはそれは立派なものでした。

皐月は初陣と祝言のふたつのお祝いを兼ねて、十次郎初菊に盃を交わさせることにします。

皐月十次郎が死を覚悟していることを察していたため、別れの盃のつもりで交わさせてあげたのです。

結婚、即お別れという非常にハードな運命を強いられてしまった初菊ちゃんにとっては、これが最初で最後なんて…と嘆くほかない辛すぎる結婚式でありました(/_;)

 

と、そこへ

お風呂が沸きましたよ」となにやら拍子抜けする報告をする人物が。

この人は一夜の宿を求めて旅するお坊さんで、今日はこのおうちにお世話になることになっていたのです。

十次郎を見送った皐月初菊はひとまず奥へと入っていくことにしました…

 

場面はすっかり夜になり、尼ケ崎の庵室は静まり返っています。

近くの竹藪がなにやらガサガサゴソゴソ…

藪の奥からなんと武智光秀が現れましたΣ('0'o)

 

実は光秀真柴久吉がこの庵室に忍び込んだのを目撃しており、討ってやろうとしているのです。

既に忍び込んでいる久吉…ここまでに疑わしい人物は一人しかいませんよね(・_・;)

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光秀は竹藪から一本の竹を抜き、先を尖らせた竹槍を作って準備万端。

家のようすを窺うと障子の奥になにやら人の気配が!

これこそ久吉だと確信した光秀は、えいやっ!と槍でひと突きにします。

 

ウゥ~!!と痛そうな叫び声。

よろめきながら現れたのは久吉ではなく、なんと母の皐月でありました…!

なんてことだ…と愕然とする光秀のところへ駆けつけた初菊

これは一体どういうわけなのかとおろおろうろたえてしまいますヽ(´o`;

 

そんな状況にあっても気丈な皐月は、

私は主君を殺した光秀の母なのだから、このような動物同然の報いを受けるのは当然だ」ときっぱり言い放つのでした。

息子にもう、これ以上の罪を犯してほしくはないのです…。

よくも武智の家の名を汚したわねと厳しく叱られた夫に妻のは、どうか善い心に立ち返ってほしい、と懇願するのでした。

しかし光秀は瀕死のお母さんにそう言われても

いや、春永は主君なんかじゃない。あいつの横暴を止めたのも天下のためだ」と聞く耳を持ちません。

 

とそこへ、大けがをした十次郎が戻ってきますヽ(´o`;

ぜぇぜぇと虫の息になってしまった息子に、光秀は非情にも「戦場の様子を語れ!」と命じます。

瀕死の十次郎はけなげに語り始め「味方も総崩れですから、どうか早く本国へ落ち延びてください…」と父を案じます。

皐月は「十次郎はこんなに孝行を尽くしているのに、お前はなんて男なんだ」とさらに光秀を責め、十次郎とともに息絶えるのでした。。

 

これにはさすがの光秀も、涙を堪えることができません。

冷徹に見えた光秀が、父親としての本心を隠し切れずに男泣きに泣くこの場面は最大の見どころであります。゚゚(´□`。)°゚。

 

そんな中、遠くの戦の音が聞こえてきました。

光秀が松の木に登ってようすを窺うと、久吉の軍勢が押し寄せてきたようです。

もうこの家に久吉はいないらしいな…と察した光秀はその陣に攻め入ろうと勇みたちます。

 

すると、おうちの中から家来を従えた真柴久吉が登場!

やはり先ほど「お風呂が沸きましたよー」と言っていた旅のお坊さんこそが久吉だったようですΣ('0'o)

久吉だと認めるやいなや斬りかかろうとする光秀でしたが、久吉は「後日改めて

山崎で戦おうじゃないか」と申し出、後日の決戦を誓い合うのでした。

 

と、ここまでが「絵本太功記 尼ケ崎閑居の段」です(人'v`*)

 

余談ですが、この演目の武智光秀にはおでこのところに三日月形の傷があります。

これは光秀が小田春永に鉄扇で打たれて辱められた時についた傷という設定なのだそうで、実際の明智光秀の顔にあったわけでなはくこの演目の拵えならではの演出ということです。

こうしたところからも、光秀の複雑な胸の内や悲壮感が醸し出されているのですね(n´v`n)

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