こんばんは♪
今月の六月大歌舞伎は「義経千本桜」の通し狂言が大盛況でしたね!
義経千本桜は三大狂言のうちの一つに数えられている超ロングランのメガヒット作品とも呼べるものです。
江戸の昔から何度も何度も繰り返し上演され、その時代時代の人々の心を掴んできた名作です。
今月見逃してしまったという方も配役こそ違えど必ず上演がありますのでどうぞご安心くださいね(人'v`*)
義経千本桜は今日まで多くの人々に愛されてきた名作なので、本来の題名とは違う通称が使われている場面があります。
この名前は書籍などでもそのまま使われることがありますので、今月の上演をよき機会としてぜひ覚えてみてください!
壮絶な名場面が通称に
渡海屋・大物浦の場のクライマックスは、血みどろの知盛が碇と共に大海原に向けて仰向けに飛び込んでゆく壮絶なものです…
これは恥辱を避けるために碇を担いで入水したという知盛の伝説を一層ドラマチックに描いたもので、
この場面は通称「碇知盛(イカリトモモリ)」と呼ばれています。
見てそのままの名前ですから、すんなりと入ってくるものですね(´▽`)
随所に使われている厳かな能の謡(うたい)が、張り詰めるようなこの場面をより一層重々しいものにしています。
次回の上演ではぜひ、音楽と詞章にも注目してご覧になってみてください♪
次にご紹介するものは少しだけ変化球的かもしれませんが、大変有名な通称です。
浄瑠璃ならではの言葉が通称に
親狐の革を使った鼓を慕う源九郎狐の心温まる物語、川連法眼館の場。
タイトルや内容からはひとつも関連がありませんが、
ここは「四の切(シノキリ)」と呼ばれていますΣ('0'o)
このすえひろも大学の授業で教授が
「シノキリガ…シノキリデハ…シノキリノ…」とお話されていた時には、
はて…と思っておりました(ノv`*)
義経千本桜は文楽から歌舞伎化された作品で、義太夫節という浄瑠璃にのせて物語を語る作品です。
今月ご覧になった方は舞台に向かって右手に二人の男性がかけていたことを覚えておいででしょうか(人'v`*)
左手の方は節づけた物語を語り、右手の方は物語の内容や語りに合わせて三味線を引き、役者と共に舞台の上に物語の世界を表していました。
浄瑠璃では物語の各段を、口(くち)中(なか)切(きり)に分けて、
「切」の場を「切場(きりば)」として重んじているのだそうです。
川連法眼館は四段目の切場に当たる*1ため、
それを略して「四の切(シノキリ)」と呼ばれています(´▽`)
浄瑠璃では物語を分けるブロックのように段という単位を用いますが、
四段目を特にドラマチックで重大な場面とすることが多いそうなので、他の作品でもご注目ください!
通称がスッと口から出るようになると、なんだか歌舞伎ファンとして一歩前進できたようなうれしさがありますよね(*´艸`)
次回の上演の際にはぜひ使ってみてくださいね♪
*1:厳密にいえばそうでないと聞いたこともあるのですが、広くはこのように認識されているため今回は割愛いたしました。ご了承ください。