今日もただいま上演中の八月納涼歌舞伎から、第三部「土蜘(つちぐも)」のお話を少しだけしたいと思います!
土蜘のあらすじに関しては、昨日お話した通りです。
ちちゅうという名前に鍵が
怪しげなお坊さん・智籌(ちちゅう)
このちちゅうという言葉は「蜘蛛」の音読み。
あれっもしかしてこの人は…?
と思わせるヒントが、こんなところに隠されていたんですね!
茶色い隈取
蜘蛛の精の隈取は、青でも赤でもなく茶色い隈取です。
これは代赭隈(たいしゃぐま)と呼ばれているもので
鬼や妖怪など、人間以外の不気味な役で使われています。
茶色い隈取の人が出てきたら、
あっこれは人間じゃないぞ!
と思ってくださいね。
「土蜘」はもともと能の曲なので、歌舞伎の衣裳にも能装束の要素が取り入れられているんです。
蜘蛛の精になってからの長い毛のかつらも、能の変化物に使われています。
しかし、隈取は歌舞伎特有のもの。融合がおもしろいですね!
千筋の糸
土蜘の精がシュパーッとまき散らす蜘蛛の糸は
「千筋の糸」といいます。
これは能の金剛流秘伝の技だったのですが、五代目菊五郎の懇願により授けられたのだそうです。
蜘蛛の糸の演出は客席がワァと湧く大きなみどころですから、
今日この技を歌舞伎の舞台で楽しむことができるということに大きな感謝の思いが湧いてきますね。
圧巻の光景ですので、まだご覧になったことのない方はどうぞお楽しみに。