先日めでたく千穐楽を迎えた
八月納涼歌舞伎!
第一部「権三と助十」の中で巳之助さん演じる助十の弟・助八が
「両国のももんじい屋に売っちまうぞ!」と
宗之助さん演じる猿廻し与助が大事におんぶしている猿に向かっておっしゃっていたように記憶しております…σ(・_・)
あいにく台本がないので、聞き違いでしたら申し訳ありません。
この「両国のももんじい屋」というのは
隅田川周辺で育った者にとっては大変なじみ深いフレーズであるため、おぉ!と盛り上がらずにはおれませんでした (*´艸`)
ももんじいとは?
「ももんじい屋」というのは江戸時代の言葉で獣肉屋のこと。百獣屋という字を当てられていたようです。
ももんじい屋では、農村で捕まえた害獣のイノシシや鹿などを江戸に運び、それらを肉料理にしてふるまったり、販売したりしていたとのこと。今でいうジビエの専門店のようなものでしょうか(´▽`)
しかし当時は仏教の教えにより、お肉はあまり大っぴらに食べてはいけないものとされていたので
イノシシは「やまくじら」
鹿は「もみじ」
などといろいろ名前を変えて呼ばれていました。
「ももんじい」という言葉も元は「妖怪」を意味していたようで、そんな風に名前を無理やり変えてまでお肉を楽しもうとしていた江戸の人々の洒落心はなんだかおもしろいなぁと思います。
当時から両国のももんじい屋は評判だったようですが、なんと現在も両国にあるのです!
ももんじやの詳細
せりふに出てくる「両国のももんじい屋」がずばりこのお店なのかは定かではありませんが、1718年創業ということですからここかもわかりません。
想像しながらお出かけしてみるとワクワクできるかもしれませんね (n´v`n)
隅田川周辺で生まれ育った私は、小さいころからこのももんじやの近くを通ることもしばしばありました。
セリフの片隅を拾って「ハッ!ももんじや!!」と思い出してしまうほど幼心にはショッキングな思い出のお店です。
それはなぜかと申しますと…
なんと…
店先に
イノシシが吊るされているのです…!!!(・_・;)
頭を下にして、ぶらーんと。
まさに血を下げて捌かれるのを待っているかのような有様で吊るされています。
野山を駆け回るイノシシ…
それを日本昔話に出てくるような狩人が撃ち殺して、ここまではるばる運んでくるようすを想像し…
あぁ、このイノシシは今晩お鍋になってしまうんだわ…。゚゚(´□`。)°゚。
と、かわいそうなような恐ろしいような複雑な思いを抱いていました。
幼心には大変刺激的な看板でしたが、
現在ははく製だとか!
私が子供の頃に見ていたイノシシも、もしかするとはく製だったのでしょうか(ノv`*)
私の姉が子供のころは、実際に獲ってきたイノシシを吊るしていたようだったと聞いています。
いずれにせよ、そういった体験から食肉のありがたみを自然に学んでいたのかもしれませんね。
隅田川界隈には他にも芝居に出てくるおもしろいスポットがたくさんあります!
芝居見物の寄り道に、ぜひお出かけくださいね(人'v`*)