ただいま歌舞伎座で上演されている秀山祭九月大歌舞伎。
「秀山祭」とは初代吉右衛門の芸を讃え、顕彰することを目的とした公演であります(人'v`*)
初代吉右衛門がどのような方であったのか知りたいと思い専門図書館へ出かけますと、
とある興味深い本に出会いましたのでご紹介いたします!
「歌舞伎の星」
「歌舞伎の星」 著:三宅周太郎 1958年出版
すでに絶版となっているものですので図書館にてお探しください。
国会図書館のほか、国立劇場や江戸東京博物館で確認できています。
この本には、初代吉右衛門を中心とした戦後の歌舞伎界の出来事がたくさん書かれています!
当時の空気感がよくわかるエピソードが盛り込まれた大変貴重な資料です(n´v`n)
閉架の書籍のため通して読み切ることはできなかったので、ところどころ読んでまいりました。
なかでも、初代吉右衛門の死についてのエピソードが印象的でした。
戦後マッカーサー元帥の副官を務めるなかで歌舞伎に魅せられ芝居見物に没頭、
米国人から不評だった歌舞伎を守り復活させ「歌舞伎を救った男」として知られる
バワーズ・フォービアンという人物がいます。
彼は、歌舞伎のなかでも特に「熊谷陣屋」が大好きだったのだそうです。
晩年病魔に襲われていた初代吉右衛門でしたが、
歌舞伎を立て直してくれたバワーズ氏への感謝の思いから、
「今のうちに好きな熊谷を見せたい」と二十五日にわたって熊谷陣屋を勤め上げました。
そこから過労がたたり病気が進行、急逝してしまったのだそうです…。
その死について三宅周太郎は、
惚れられたバワーズ氏のために、同じ思いの感謝のあまり死を早めたというのは、
これまた大芸術家の永遠のよき「逸話」となるのではなかろうか
と述べています。(※文言は多少違うかもしれませんが)
まるでさむらいのような亡くなり方であったのだなと、非常に感じ入ってしまいました。
この他にも、初代がどんな役者であったかがよくわかるエピソードがたくさん載っていますので、
ぜひ機会がありましたらお手にとってみてくださいね(人'v`*)
三宅周太郎とは、大正から昭和に活躍した劇評家であります。
穏健で公正な批評で知られた方だそうで、そのためかこの本もわかりやすくあたたかな思いで読むことができました(n´v`n)
特に有名なのは『文楽の研究』という本だそうです。
近いうち、こちらも読んでみたいと思います!