ただいま歌舞伎座で上演中の四月大歌舞伎!
昼の部「裏表先代萩」では菊五郎さんが
時代物の極悪人・仁木弾正と世話物の悪党・小助の2役をお勤めになり
時代・世話の巧みな味わいの変化を見せてくださいます。
仁木弾正といえば「伽羅先代萩」が有名ですが
この機会にほんの少しばかりお話してみたいと思います(´▽`)
仁木弾正のモデル
その二では江戸時代の仙台藩で起こった御家騒動
伊達騒動についてざっくりとお話いたしました。
この伊達騒動において、
伊達宗勝とともに権力を握ろうとした家老・原田甲斐こそが
「裏表先代萩」「伽羅先代萩」で妖気を放つ仁木弾正のモデルであります。
仁木弾正といえば御家乗っ取りを企み妖術さえ操る
世にも恐ろしい悪人として描かれますが、
実際の原田甲斐がそのような悪い人物であったのかというと
その捉え方はさまざまのようで、
ただ宗勝の意のままに動いていただけだとする説もあります。
仁木弾正の役柄のイメージを人々に強烈に印象付けたのは、
江戸時代後期の名優・五代目松本幸四郎という方です。
五代目幸四郎は「鼻高幸四郎」と呼ばれるほどの高い鼻と鋭い眼光によって、
舞台に立つと独特のおそろしげな雰囲気をまとっていたそうであります。
この方の持ち味を存分に活かした役柄として
凄みのある恐ろし気な仁木弾正像ができあがっていったようです。
いまでは仁木弾正は、「実悪(じつあく)」と呼ばれる敵役の典型的な役柄、
悪人中の悪人の役柄として語られています。
史実はさておき、とても魅力的な役柄に違いありません(´▽`)
参考:歌舞伎登場人物事典