ただいま歌舞伎座で上演中の四月大歌舞伎!
昼の部「裏表先代萩」では菊五郎さんが
時代物の極悪人・仁木弾正と世話物の悪党・小助の2役をお勤めになり
時代・世話の巧みな味わいの変化を見せてくださいます。
仁木弾正といえば「伽羅先代萩」が有名ですが
この機会にほんの少しばかりお話してみたいと思います(´▽`)
亀千代君をめぐる大騒動
「伽羅先代萩」「裏表先代萩」ともに題材となっているのは
伊達騒動と呼ばれて今に伝わる江戸時代の仙台藩で起こった御家騒動であります。
複雑ですので本当にざっくりと概略だけお話いたしますと
時は万治3年…
伊達家の三代目藩主であった伊達綱宗は、
その身持ちの悪さゆえに幕府から逼塞を命じられてしまいました。
それによって家督を相続したのは、なんとまだ2歳の亀千代君(伊達綱村)。
小さな坊やですから、とてもではありませんが藩主のお仕事など勤まりません。
そこで綱宗の叔父にあたる伊達宗勝らが彼と後見人となり、
家老の原田甲斐とともに権力を握ろうとしました。
すると彼ら後見役派とそれを快く思わない派で対立が起こります!
幼い亀千代君が毒を盛られそうになり毒見役が亡くなってしまったりと
まさしく先代萩のお話と通ずる事件も起こったようです。
藩内が動揺したまま10年ほどの時が流れ、次第に宗勝は孤立していきました。
そんな中、反対派の伊達安芸らがこの対立を境界紛争とからめて幕府に上訴。
酒井忠清という大老のおうちに関係者たちが集められ、評定が行われました。
するとあろうことか、
家老の原田甲斐がいきなり伊達安芸を斬り殺したのです!
原田甲斐はその場で安芸派の人物に斬りつけられ、その夜死亡!
主な人物同士が突如殺し合うという衝撃の事態ですΣ(・□・;)
これによって原田家の人々や宗勝がお咎めを受け、処罰されることとなり、
仙台藩そのものは安泰となりましたとさ…
というのが、芝居や浄瑠璃の題材としてたいへん人気があった
伊達騒動のざっくりとした流れでありました(´▽`)
参考:日本大百科全書