歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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平成をふりかえり…  平成31年4月30日

いよいよ今日で平成という時代が幕となります…

千穐楽のような、大みそかのような、

お祭り気分と切なさとが隣り合わせの不思議な感覚です。

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平成の30年間は歌舞伎界も激動の時代であったと思われますが、

このすえひろは昭和最後の年の生まれで、平成前半を子供として過ごしたため、

三分の一と少ししか平成の芝居を体験できなかったことが残念であります。

 

しかしながらその三分の一の中にも、

今思えば平成という時代を象徴するような素晴らしい思い出が数々あります。

 

真っ先に思い出されますのは平成20年にシアターコクーンの立見席から見た

コクーン歌舞伎「夏祭浪花鑑」です。

シアターコクーンを走り回る勘三郎さんのエネルギー溢れるお姿が、

昨日のことのように目に焼き付いています。

ぐるぐると湧き上がる渦のようで、飲み込まれてしまいたいと思いました。

当時ぽつぽつと湧き上がっていた歌舞伎への興味…

敷居の高さやむずかしさに尻ごみをしていましたが、

いいからおいでよ!と背中を押していただいたような目の覚める体験でした。

 

次に、平成22年、前の歌舞伎座の幕見席から見た

歌舞伎座さよなら公演での團十郎さんの「助六由縁江戸桜

幕見席から花道は一切見えないのに、下駄の音でワッと沸き立つ空気を感じ…

この方がこうしてお出ましになるだけで、

私の心はなんて嬉しくなるのだろうと思いました。

歌舞伎役者の方の圧倒的存在感を肌で感じた忘れられない体験です。

 

そしてその時あまりのかっこよさにしびれていた三津五郎さんの福山かつぎを、

平成25年に開場した歌舞伎座のこけら落としで再び拝見できたこと。

 

このとき助六をお勤めになっていたのは海老蔵さんで、

人一人の命を超えて芸は脈々と繋がっていく、それでいて、

人一人の命の中にしか存在しない脆く儚いものでもあるという

歌舞伎の底知れぬ魅力を実感して胸が震えました。

 

また今回この時代の変わり目に際して、

歌舞伎界における30年間の出来事をさらっている中で

仁左衛門さんの襲名が平成10年であったことを改めて認識し非常に驚きました。

 

私が仁左衛門さんを知った時にはすでに仁左衛門さんでいらしたので、

ずっと仁左衛門さんのような気がしていましたが

それよりもずっと長い長い歴史を、孝夫のお名前で活躍していらしたんだな…

仁左衛門さんのお名前でのこれまでの数々のご活躍もまた、

平成という時代の中にこそあった象徴的なもので、

その一部は私のような若輩者にもなんとか拝見できていたのだ…と、

素晴らしい方と平成の時代をともに生きることができた喜びを改めて感じて

心からうれしく、誇らしく、感謝の思いでいっぱいになりました。

 

そうはいっても欲を言えばはるか江戸時代の出雲阿国から、

令和のさらに先の世の歌舞伎までこの目で見届けたいところですが、

そうはいかない切なさもまた乙だなとも思います。

 

令和にはどんな芝居が待っているのでしょうか。

楽しみに今夜は休みたいと思います。

令和の世でも引き続き芝居見物に明け暮れてまいりますので、

お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

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